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■2011年4月

伊藤忠ファッションシステム(株)
マーケティングクリエーションBU マネジャー
吉水由美子

2011年新たなシーズンへ向けて〜ファッション消費の現状と今後

2011年4月・・・新たなシーズン、新しい期が始まる。そんな矢先に東北関東大震災が起こり、ファッションのみならず産業界を取り巻く状況はますます厳しくなりそうだ。しかし嘆いてばかり、踏みとどまってばかりもいられない。現状を見つめつつも、少しでも、小さくても、一歩を踏み出したいものである。そのためのヒントを探ってみたい。


同調消費と自分確認消費に二極分化、中途半端なものはますます売れない

2006年頃のプチバブル消費が嘘のように、2008年以降はプチプライス消費一点張りだ。本当に個性化しているのかと疑いたくなるほど日本人は同調性が高く、現在は安いもの、コストパフォーマンスのいいものばかりが話題だ。例えば「ユニクロ」は価格と機能や品質のバランス、「ZARA」や「H&M」「Forever 21」は価格とトレンド感度のバランスが認められ、売れている。いずれにせよ、「これで充分」と気が付いてしまった消費者は、もとには戻らない。全体として時流に乗る、時代のトレンドに敏感に反応する、という同調性の高さが日本人の特徴であり、今現在は「ヤスカワ」「プチプラ」が時代の気分なのだ。2011年以降も、不合理に高いものにはお金を払わない状況は続くが、かと言って安いだけのものにも飽き、自分にとって合理的な価格と価値を追求するようになると思われる。

それは自分らしくあるための自分確認消費であり、自己表現とか自己主張といった他人目線ではなく、自己満足や自己充足に近いものだ。例えばある人にはエシカル(倫理的)であることが重要で、地球環境に負荷をかけない、先住民と対等な取引をするなど、ものつくり姿勢に賛同する企業の商品を買う。また別の人にとってはデザイナーのクリエイティビティーが大切で、それに対する共感やリスペクトでその服を購入する。消費によって自分が何者であるか、どういう人間であるか確認する…そういった消費が台頭すると考えられる。ファッションの意味が、自己表現から自分確認へシフトしてきたように感じられる。

つまり世の中のトレンドに乗るための同調消費は、流れがすぐ変わるかもしれないのでなるべくコストパフォーマンスよくすませる一方、自分を確認するための消費には高いお金を払うことも厭わない、という二極分化が進行する。逆に言えば、どっちつかずの中途半端な商品、安くもなくかつ賛同や共感に値する価値のない商品は買う理由が見出せず、淘汰されるだろう。消費者に選ばれるためには、企業努力によって価格を納得できるものにするかポリシーや主張を明確にすることが、益々求められる時代になりそうだ。 (図1)

ファッション消費における二極分化



ファッションのお手本や情報源が、より共感できる「人」に変化

一般の消費者がトレンドを採用するに当たっては、お手本や情報源が必要となる。そのお手本や情報源が、今劇的に変化している。

少し時代を遡るが、80年代は明らかに雑誌がファッションのお手本だった。雑誌が発信する「今はこれがトレンド、ファッショナブル」というお導き情報を、皆でトレースしていた。90年代になると情報源は流通側・店舗側に移り、セレクトショップのカリスマバイヤーやギャル系ショップのカリスマ店長がもてはやされた。店の選別するセンスやスタイル発信機能が支持されたのである。そして00年代になると、情報源は人になった。セレブ、読者モデル、ブロガーなど様々だが、いずれにせよ作り手や売り手側ではなく、買い手側にいる人の情報を信頼するようになったのだ。ファッションディレクターやスタイリストといった本来送り手であるファッション業界人でさえ、「個人的買い物」や「私服・私物」をメディアやネットを通じて公開し、それらは買い手のお買い物ガイドとして機能している。(図2)

ファッション消費における情報源の変化

これらは、遠いメディア情報から。より近い店頭情報へ、さらに自分とファッション嗜好が似ていて共感できたり自己投影できたりする人からの情報への変化と言える。消費者は雑誌記事や広告に作為を感じていて、より自分と近い人、いわば自分に代わって代理セレクトしてくれる人の情報を信じるのである。この傾向は今後2010年代も続くと思われ、ブログやツイッターなどのネットメディアがさらに拍車をかけることは間違いない。購買意思決定プロセスが、AIDMA(認知→興味→欲求→記憶→行動)からAISAS(認知→興味→検索→行動→共有)へと変化するに伴って、検索や共有の重要度が上がっている。PCでポータルサイトやブランドサイトを検索するだけでなく、ケータイ経由でブログや口コミサイトをみて評判や人気を確かめる、あるいはスマートフォンからツイッターで今どこで何を買ったかというつぶやきを他人と共有する・・・そういった購買行動がファッションにおいても当たり前になりつつある。(図3)

ファッション消費における購入意志決定プロセスの変化



新しい世代〜プリ下世代とハナコジュニア世代〜に注目!

ifsが長年蓄積してきた世代研究では、消費の自由裁量権を獲得する20歳前後の経済状況の影響に着目している。例えばプレバブル世代と呼んでいる40代以上の層は、バブル経済を社会人になってから経験しているので、基本的に上向きランクアップ志向だ。逆にポストバブル世代とネーミングした30代以下の層は、バブル崩壊後の不景気・不透明な時代に社会人になったゆえ、等身大リスクヘッジ志向である。

その時代の気分を担うのは主に20代の若い消費者であり、その世代の人々の価値観が時代の気分をつくる。1980年代はイケイケなハナコ世代、1990年代は堅実な団塊ジュニア世代、2000年代は感覚的なプリクラ世代が、各々メインプレーヤーだった、そして2010年代は堅実性と感覚性を併せ持つプリ(プリクラの略)下世代、それに続くハナコジュニア世代が担ってゆくと想定される。

従って2011年以降を考える上で、プリ下世代(現在24〜28歳)に注目してみよう。ファッション意識・行動をみると、トレンド意識が高く、道行く人や店頭のディスプレー、タレント・モデルを参考にし、多少着心地が悪くてもデザインを重視するなど感覚的な傾向が強い反面、世の中に知られているブランドやショップで買う、友人に意見を求めるなど、堅実にリスクヘッジする傾向もみられる。また今後お金をかけたい分野として、ファッションや雑貨、化粧品や美容サービスという項目が高くなっているが、それ以外に、人付き合いを目的とした飲食、友人と過ごすためのモノコトサービス、自分の勉強・趣味のためのモノコトサービスといった、いわゆるコト消費が高いのも特徴的だ。この世代は友人とのコミュニケーション志向が高く、楽しい時間を演出するためにファッションも含めてお金を使いたい気持ちが読みとれ、例えばパーティではコスプレ感覚でいつもと違う雰囲気を装ったり、もしランニングが趣味ならランニングウェアにこだわったり、山に登るにも「山ガール」的おしゃれをしたり。そして彼らが何らかの消費行動を起こすときに参照する情報源では、くり返しになるが、PCやケータイ経由のコミュニティサイトやブログの割合が高くなっている。


このように、商品やブランドのあり方を見直すこと、コミュニケーション経路や購入意思決定プロセスの変化を認識すること、新しい世代にアプローチすることなど、まだまだやれることはたくさんありそうだ。一歩を踏み出して、春を少しでも明るく迎えたいものである。



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