コロナ禍におけるウェルネス関連ブランドの好調

新型コロナウィルス感染症の感染拡大を受け、ことアパレルブランドへの投資は停滞しているが、一方でウェルネス関連への投資は非常に活発な様子が窺える。この背景には消費者の健康でいることへの関心がかつてないほど高まった事で、サプリメント、免疫、機能性食品、ホームフィットネスやセルフケアがトレンドとなり、売上が爆発的に伸びていることが要因として挙げられる。今回は、コロナ禍に於いて好調なウェルネス・ヘルスブランドの第一弾をレポートさせて頂きます。


直近のM&Aや投資を受けた
ヘルス・ウェルネスブランド事例

カナダのバンクーバー発のアスレチックウェアブランドlululemon(https://www.lululemon.co.jp/ja-jp/home)は、インタラクティブなホームジムブランドMIRROR(https://www.mirror.co/)に5億ドル(約530億円)の投資を行い注目を集めた。これはlululemonにとって初の投資案件となる。MIRRORは、鏡型のホームジム機器で、フィットネストレーナーによるオンデマンドのパーソナルトレーニングサービスが受けることができる。価格は$1,495(約16万円)。また、ナチュラルホームケアブランドGrove Collaborative(https://www.grove.co/home)は、肌健康に特化したグミ状サプリメントブランドSundaily(https://getsundaily.com/)を買収。現在、lululemonやGrove Collaborative以外の他社が絡んだ幾つかのディールが進行中であるが、その中には筋力トレーニングの為にデザインされた家庭用スマートフィットネスシステムやサプリメントメーカー等も含まれている。

投資家注目ブランド1
筋力トレーニングの為にデザインされた家庭用スマートフィットネスシステムTONAL

https://www.tonal.com/
courtesy of Tonal
https://www.tonal.com/first-ai-home-gym/
TONAL は、サンフランシスコを拠点にシリコンバレーで20年以上のキャリアを持つAly Orady氏によって設立されたフィットネススタートアップ。Orady氏は自身が幼少の頃から体重管理に苦しんだ事から筋力トレーニングにソリューションを求め、その結果70パウンド(31.7kg)の減量に成功。しかしながら、一方で多忙なスケジュールの中、この体重を維持するための筋トレをジムで行うことが時間的に難しい(ジムだと限られた機器の順番待ちに時間がとられていた)と感じたOrady氏は、自宅で効果的に筋力トレーニングが可能な世界初の壁掛け型スマートホームフィットネスマシーンTONALの開発に至った。世界で最もインテリジェントなホームジム且つパーソナルウェイトリフティングデバイスと呼ばれているTONALのスマート機器の最大の特徴は、従来のウェイト、メタルプレートやバーベルの代わりに、外側に伸びる二つのアームがスクリーンの横に付随され、デジタルウェイト(電磁力)を使用することで負荷をかけることができることだ。また、実際のエリートトレーナー8人によるコーチトレーニングシステムもプログラムされている。価格は2,995ドル(約32万円)。TONALは、 これまで4回のラウンド投資を経て、9,000万ドル(約9.5億円)の資金獲得に成功している。

投資家注目ブランド2
科学に基づいた栄養健康サプリメントブランドAdaptive Health

https://adaptivehealth.com/
Brandon Adcock氏によって2009年に設立されたAdaptive Healthは、ノースキャロライナ州シャーロットを拠点にする栄養健康サプリメントブランド。同ブランドは、全てのスタッフと顧客に質の高い生活を提供することをミッションに掲げ、科学に基づき、消費者の年々変わる健康状態や症状(ヴァイタリティの低下、関節や消化の不快感、ストレスやエイジング他)に合わせた栄養健康サプリメントを展開。また、Nugenix®, Instaflex®, Peptiva®, Lumiday®, Dr. Sinatra®, Dr. Williams™, Dr. Whitaker®, Sleep Answer® や OxyRub®といった業界を牽引する科学的に形成された栄養健康ブランドを社のポートフォリオに持つ。以前はDirect Digitalというブランド名で知られていたが、2017年Healthy Directionsの買収後、リブランディングを経て企業名をAdaptive Healthに改めた。2019年には、高品質な製剤を専門にする栄養補助食品の契約生産オペレーション会社Biovation Labs(https://www.biovationlabs.com/)を買収し、傘下に収めた。

投資家注目ブランド3
グミ状サプリメントSMARTYPANTS

https://www.smartypantsvitamins.com/
SMARTYPANTSは、2011年、LAを拠点にヘルスやウェルネスに高い関心のあるCourtney Nichols GouldとGordon Gould夫妻によって 設立されたマルチビタミンブランド。品質の妥協は一切せず、日常の健康維持をもっと簡単なものにしたいとのミッションを掲げ、平均的な米国人の食生活を基に15種類以上の必須栄養素、オメガ3とビタミン類をグミに凝縮した子供や大人向けのマルチビタミンをスタート。高品質な素材の調達から検査やパッケージまで企業としての透明性を追求。人工着色料、人工甘味料、人工香料や防腐剤の使用は一切していない。また、全てのSMARTYPANTSの商品はnon-GMOで第三者機関によるラボテストで添加物のないことや有効性が実証されている。SMARTYPANTSは、これまで6回のラウンド投資を経て1,950万ドル(約20億円)の資金の調達に成功している。
投資アナリストによると、コロナ禍に於いてウェルネスが消費者の間で一番のプライオリティとなっている今、サプリ、免疫、機能食品、ホームフィットネスの売上は今後も継続して伸び、この現象はアフターコロナに於いても続くと分析されている。また、リテールのみの販路に頼らず、手頃な商品価格や効果が証明されているウェルネス・ヘルスブランドに注目していくと語った。更に、投資家によるウェルネス関連への投資が活発化している理由としてGeorge Floyd氏の痛ましい死の抗議活動として全米に広がるBlack Lives Matterムーブメント(アフリカ系アメリカ人に対する警察の残虐行為に抗議して、非暴力的な市民的不服従を唱えるアメリカ合衆国の組織的な運動の意)も、投資家の従来の投資戦略を再評価する要因となっているという。ダイバーシティやインクルージョンといった観点からもアフリカ系アメリカ人が経営するウェルネスブランドにも注目が集まっているようだ。
キーワードは、ウェルネス系のM&A継続、Black Lives Matterムーブメント、強いデジタルプレゼンスとオンラインセールスのあるウェルネスブランド。

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