2017.09.5 - All , ビジネス

一見ワイルドな、アスパラベーコン男子とは・・・?

マーケティング開発グループ

リーテイルマーケティングビジネスユニット

小野 朋子

街でストリートスナップを撮っていると、ここ数シーズンで感じる変化がある。派手なワイルド系男子の存在感がアップしてきていることだ。なかでも、その見た目とは裏腹に内面は女子力が高い「アスパラベーコン男子」(外見肉食系・内面草食系)が増殖中。今号では、元祖ワイルド系肉食系男子(ギャル男)→草食系男子→ロールキャベツ男子(外見草食系・内面肉食系)→アスパラベーコン男子という、時代を象徴する男子像の変化とその背景について考察してみたい。

■街ナカで存在感を高める今どきワイルド系男子

リアルマーケットのトレンドを把握するため、定期的に原宿・渋谷で街の人のファッションを観察しているが、ここ数シーズンで明らかに変化を感じるのが、特にアラウンド20 において、GENERATIONS fromEXILE TRIBEやK-POPアーティストのような派手なワイルド系男子の存在感が高まっていることだ。その特徴としては、日に焼けた肌に筋肉質な体型で、ファッションはちょいワルに見える男らしさを打ち出したスタイル。直近のトレンドでは、赤や蛍光色など派手色アイテムや大胆な柄を用いたスポーティなスタイル、大胆な柄のTシャツにダメージ加工のスキニーを合わせたポップロックスタイルなどが見られる。

ファッションの大きな流れとして、数シーズン前まで世の中を席巻していた「ノームコア」のシンプル・スタンダードなファッショントレンドからカジュアルダウンし、全体として男っぽい強さのあるムードが戻っている。そこに「ノームコア」に飽き飽きしていた男子が飛びつき、一時は絶滅危惧種のように感じられたワイルド系男子が息を吹き返しているのだ。

ただ、“ワイルド”と言っても、従来のワイルド系(ギャル男)とは、その見た目においても大きな違いがある。まず、特にシルエットという点では、従来のワイルド系は”男っぽいセクシー“が大きなテーマだったため、やたらとカラダにフィットしたボディコンシャスなシルエットの服が好まれていた。スタイルをよく見せるために、レディスアイテムを(あくまで男らしく)取り入れることが流行っていたくらいだ。それと比較すると、今どきワイルド系男子では、セクシーさよりもきれいめのスウェットやスニーカーを積極的に取り入れたスポーティさが重視されている。

もう一つの大きな違いは、“ 清潔感”だ。従来のワイルド系、ギャル男のファッションと言えば「汚ギャル」という言葉があったように、世間に与える印象としては清潔感に欠けた。対して、“ 今どき”ワイルド系は、清潔感のプライオリティが非常に高いので、ファッションテイストとしてもクリーンさが浮上、好感度が高くなっている。これはワイルド系男子に限らず、アラウンド20の男子全体に言えることだが、最近では20代男子向け雑誌の『スマート』や『メンズ・ノンノ』でも美容関連の記事が連載されていることに加え、実際に街でアラウンド20の男子に話を聞くと、洗顔→化粧水→乳液のケアが日々の習慣として身についている男子が多く、肌の乾燥を感じる時はフェイスマスクでケアするなど手入れに余念がない。男子の美容意識がここ数年でぐんぐん高まっていることで、ファッションだけでなく美容も含めた見た目のケア意識(スキンケア、ヘアケア、ボディケア、デオドラント意識)=清潔感があることが当たり前になっている。

■今どきワイルド系男子=実は優しくて女子力の高い“アスパラベーコン男子”

今どきワイルド系男子は美容への意識が高いだけではない。近年男性と同等に、もしくはそれ以上に活躍する女性も増えている。精神的にたくましい女子が増えるとともに、優しくて家事力の高い男子も増え、今まさに、行動実態を伴って、従来の「男らしさ」「女らしさ」の枠があいまいになってきているのかもしれない。実際、料理好きだったり、スイーツが大好きでカフェ巡りを趣味にしていたり、細やかな気配りができたり…と、従来「女の子らしさ」や「女子力」とされてきたようなスキルを持っている男子が増加傾向にある。

ここで、これまで注目された男子像を時代順にまとめてみると、まずは前述のギャル男に代表される元祖ワイルド系のいわゆる“肉食系男子”。彼らは、ダーティ&セクシーの派手な見た目と、ギャルとともにギャル文化の開拓者であるため、主体性や行動力がある。

その後に注目されたのが、肉食系と相反する“ 草食系男子”だ。彼らは、見た目がシンプルベーシックなファッションで、性格も受け身で慎重。その次に現れたのが、見た目はノームコアファッションブームも相まった草食系だが、実は中身は肉食系の“ロールキャベツ男子”、そして今回の“ アスパラベーコン男子”が続く。それぞれが、ファッショントレンドと時代の気分を象徴する男子像となっていることは確かであり、見た目と性格の組み合わせは4者4様だ。

■モテたいアスパラベーコン男子は共感力が高い

モテ意識に関しても、それぞれ違いが見える。肉食系男子は見た目も中身もガツガツしているため、女子へのアピールも積極的だったが、そんな彼らを反面教師にしたのか、ガツガツしたくない草食系男子は自分から女子にアプローチすることがない。そしてガツガツして見られたくない(けど心の中はガツガツしている)ロールキャベツ男子は、モテ意識を下心に隠し、モテたい素振りは見せないが、いざという時には男らしくガンガン攻めるタイプ。一方で、アスパラベーコン男子は、派手で男っぽい見た目で女子に対してアピールしており、モテたい気持ちを包み隠さず表現する気運が戻ってきたようだ。実際、伊藤忠ファッションシステムで定期的に実施している「生活者の気分」定量調査においても、「魅力的に感じる言葉」という項目で「モテる」はアラウンド20(15 ~ 24歳)男子の反応が非常に高くなっている。

その要素も、時代とともに変化している。「強く、たくましい」見た目のほか、元来、「主体性」「決断力」「不言実行」がモテ要素になりがちだったが、それが今や「協調性」「共感力」「コミュニケーション力」に置き換わってきている。例えば、女子が何かの壁にぶつかった時に、これまでの「俺がなんとかしてやるよ!」よりも「(女子の気持ちを理解した上で)一緒に解決策を考えよう!」の方が、女子ウケが良いのだ。その点において、アスパラベーコン男子は今どき女子にとって魅力的な存在である。彼らは、女子と目線を同じにして、その時の気持ちに寄り添ってくれる存在として、頼りになるからだ。

ただし、ネット上の女子の恋愛コラムをのぞいてみると、優しそうな見た目なのに、いざという時に頼りになるロールキャベツ男子は「ギャップ萌え」、一方でアスパラベーコン男子は、男らしい見た目だが女子の気持ちを汲み取ろうとするあまり“ パスしているのにシュートを打ってくれない”頼りない男子ということで「ギャップ萎え」と表現されていることもしばしば。

アスパラベーコン男子が益々勢力を拡大するのか、もしくは新たにどんな男子像が出てくるのか、今後も注目していきたい。

ストリートに見る、今どき男子像の考察

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