2018.10.24 - All , ifs fashion insight

ファッションを再定義する:ifs fashion insight開催レポート

第2回:いまどき女子にとってのファッションを再定義する
めざせ、いじられ上手!―SNS世代との関わりのつくり方
【Part②】

伊藤忠ファッションシステム株式会社(以下、ifs)では、次代に向けてのファッションの意味・役割を再定義し、新たなビジネスの視点を提案するコアプロジェクトとして、今年3月にトークセッションシリーズ「ifs fashion insight」を始動した。
vol.2の開催レポート【Part①】では、この10年におけるファッションの変化やボディケアへの関心の高まりについてディスカッションを進めながら、“いまどき女子”のリアルなおしゃれ意識・感覚を紐解いてみたが、Part②では、その消費意識やストリートファッションに迫ってみる。

ifs fashion insight 第2回 開催レポート

 

変化するファッションに関わる消費意識

ifs fashion insight オフィシャルモデレーター稲着達也氏(以下、稲着):「いまどき女子」がお金をかけたいジャンルの5位に「イベント・フェス」が入っています。音楽とファッションの関係性が密接になっているというお話が見澤さんからもありましたけど、音楽フェスへの関心がこの10年とても増えましたよね。

ifsナレッジ開発室 中村ゆい(以下、中村):弊社でリサーチをしていると、「イベント・フェスに行くためのファッション」という流れになってきていて、特に20代では顕著です。コミュニティや人が集まるところに参加することへの関心がとても強い傾向があります。
もともと音楽とファッションはすごく密接で、その音楽に合わせたファッションがあります。最近フェスに行くとその音楽の持っているジャンルや雰囲気に応じたファッションで楽しんでいて、たとえば、野外フェスの「フジロックフェスティバル」はアウトドア、幕張メッセで開催される「サマーソニック」は都市型なので、自ずと着ていく服は変わるんですね。そういうシーンに合わせたファッション提案の方が盛り上がるのかなという印象です。

ifs fashion insight より服にお金を掛けたいシーン

株式会社宝島社 「mini」編集長 見澤夢美氏(以下、見澤):『mini』の読者まわりで考えると、音楽とファッションが融合する現象は割と久しぶりの印象です。LDHやK-POPが出てくる以前は、あまり音楽とファッションに強い関係性はなかった気がしますが、今の若い子たちはK-POPや韓国ファッション、ストリートが好きで、E-girlsに憧れてカラフルな髪色にして、ばっちりメイクをして派手なファッションを楽しんでいるのが新しい動きと思っています。フェスやイベントでみんなで盛り上がる時に、どんな格好で写真を撮るかということが、ファッションと関係してきていると思ったりします。

稲着:撮った写真をSNSにあげる時は、その背景や雰囲気と自分自身が合ってないといけない。そういう点でいえば、もしかしたら旅行もフェスなどに近いのかもしれないですね。旅行先によって服を買うみたいなことが、購買のきっかけになったりするのかもしれないと思います。『ローリエプレス』のユーザーでは、イベント・フェス関連で特徴的な傾向はありますか。

エキサイト株式会社 「ローリエプレス」編集長 遠藤優華子氏(以下、遠藤):たとえば、七夕シーズンに「浴衣でディズニーランドに行こう」という企画がありました。その時は浴衣にフォーカスするというより、「浴衣ディズニーの回り方」という文脈だったのですが、ユーザーさんからから「このモデルさんが着ているのは、どこの浴衣ですか?」と、お問い合わせが結構ありました。実は、その浴衣は編集部の私物だったのですが(笑)。女の子たちって、浴衣など「今年はコレ!」というように、普段の服を買うよりも少し情熱をかけて購入していると思うんです。デートなのか、友達と遊ぶのか、もちろんSNSに写真もアップしたいと思うし。水着や浴衣はハズしたくないので慎重に選んでいるんですよね。
シーズンアイテムや装飾品などでも結構ピンポイントな問い合わせが来ることがあって、ファッション企画のプロップスで白いテディベアを置いていたら「それはどこのですか?」と思わぬ問い合わせがきたり。何かのシーンを彩るポイントで「いまどき女子」は感度が高いなと思うことがあります。

中村:そのエピソードは、今回のテーマの核心部分につながると思います。LINE世代の女性が「服にお金をかけたいシーン」では、「オフの日に外に出かける時」「恋人と過ごす時」、さらに「ディズニーやフェスなど特別な場所へのお出かけやイベントに参加する時」への反応がすごく高いのが特徴です。
洋服はオケージョンを盛り上げるひとつのツールになっていて、ただモノを手に入れる満足感というよりも、洋服を着ることでシーン全体を楽しみたいという意欲がすごく高いと思います。

稲着:10年前だと自分は大学生でしたが、その頃のおしゃれな人は「服そのものが好き」というタイプが多かったと思いますが、今は違いますね。シーン全体のひとつのツールとして服があって、そこでいい写真を撮って雰囲気をつくれるような人がおしゃれと言われます。

中村:昔のファッション好きは、ある意味、「ファッションオタク」でしたが、今の大学生は全体的に情報感度の高い方がおしゃれという気がします。

ストリートのリアルは韓国ファッション

稲着:それそのものを追求するのが好きというタイプは基本オタクです。一方、今の時代は、何かを追求するよりもコミュニケーションのツールとして最大限利用する活用センスがある人が、流行になってくるということではないでしょうか。
先ほどファッションと音楽の関係性の中で、見澤さんがK-POPをあげられていましたが、音楽に限らず今は「韓国」が人気です。『mini』と『ローリエプレス』では、韓国コンテンツは人気がありますか?

見澤:そうですね。今は、韓国人気は無視できないと思います。たとえば、「BLACKPINK(ブラックピンク)」という韓国のガールズグループが『mini』に登場したときは、通常ではありえないぐらいのリツイート数でTwitterでもすごく盛り上がって、この号は完売しました。「雑誌が売れない」と言われがちですが、SNSで盛り上がって、結果として雑誌の購入につながるという還元型もあったりするので、SNSと雑誌はうまく支え合っているように思います。「BLACKPINK」は、歌って踊れて、顔もかわいいし、メイクも気になる、ファッションもステキという憧れの存在で、読者は彼女たちが着ている服が欲しくなったりします。ブランドで買うというよりは、憧れの誰かが着ているアイテムが欲しいというのが購買意欲につながっているように思います。LDHの「Happiness」のメンバーもファッション感度が高くて、髪色も派手なのですが、やはり人気が高いです。 昔の『mini』の世界観の中では、ピンクの髪なんてあり得なかったのですが、今は派手な髪色の子がストリートでのリアルです。一見ギャルっぽいけど、本人たちは「私たちはギャルじゃない」と言っていて、着ている服は「STUSSY (ステューシー)」などのストリートブランドだったりします。これが今新しい層として『mini』の読者には入ってきている典型のタイプです。

稲着:同じ韓国系コンテンツの人気といっても、例えば『ローリエプレス』では、どのようなものが人気ですか。

遠藤:『ローリエプレス』は比較的甘めの媒体なので、派手色ブームみたいなのはあまりないのですが、韓国というキーワードはすごくヒキが強くて、コンテンツを出すとすごく伸びるジャンルではあります。だいぶ前からオルチャンメイクはすごく人気ですし、韓国の人気モデルが登場するコンテンツはとてもニーズがあります。洋服も日本よりプチプラで、人と被りにくいハイセンスなアイテムが買えるということもあるのでファッション的にも「韓国」は人気なのかなと思います。

中村:いまどき女子にとって「韓国」は、どんな位置づけの場所だと思いますか?

遠藤:日本にあるインスタ映えするカフェやフォトジェニックなスポットには、すでに結構行っているという現状がある一方で、近いけどちょっと憧れの存在として韓国に足を運ぶと、まだ誰も知らない場所に最初に行けるみたいな新たな発見も求めている部分はあると思います。もっとさらにかわいい場所、かわいいものがある場所に行きたいと、大学生でも頻繁に韓国に行く方は多いと思います。

稲着:最近原宿にも韓国系のショップがすごく増えてきていて、2017年に韓国ファッションブランド「STYLENANDA(スタイルナンダ)」などが進出してから、原宿が韓国系ストリートファッションの聖地のように紹介されることがあります。Webマガジン「HARAJUKU KAWAii STYLE」のアクセス数のランキングを見ると韓国コスメの発売情報が人気があって、無視できないくらい流行ってきているというのは感じることが多いです。

見澤:東京がファッションを牽引していると思いきや、最近はパリ、ニューヨーク、そしてソウルなんですよね。台湾の人と話しても「今、全然日本じゃないよ。韓国だよ」と言っているぐらいで、ちょっと負けているなという印象があります。ストリートでは、韓国で流行ったものが日本でも流行るという現象がこの2、3年ぐらい続いていて、私自身も韓国にはしょっちゅう行っているけど、むこうで白いキャップをみんな被っているなと思ったら、その後、日本のストリートでもみんな白いキャップを被るようになったり。普段の取材からそれはすごく感じますので、原宿の韓国化も分かる気がします。

稲着:「Vetements(ヴェトモン)」や「Off-White(オフホワイト)」がすごく流行ったのは、結局SNSにアップする時に分かりやすいということもあって、海外のストリート系インフルエンサーたちと一緒に成長していたイメージがあります。ちょっとした派手さ、SNS映えにつながるようなファッションですね。その感度が韓国の若者の方が、日本よりも高かったのかもしれないですね。韓国コスメも、価格的な手頃さもあって人気ですね。

遠藤:韓国コスメは価格が安いことに加えて、パッケージもかわいい。実用性が高いアイテムも多くて、最近は日本進出も増えています。韓国コスメは、分かりやすくてかわいいものが多いから、ワクワクさせてくれるんだと思います。いまどき女子は、新しさを求めているところはあるので、誰かのインスタを見ていて「これどこの?」と聞きたいし、聞かれたいがあると思います。そういう面白さの発見も韓国コスメの魅力だと思います。