2017.12.20 - 海外レポート , All

米国ショッピングモールの新たなチャレンジ

ifs New York

今年の米国ホリデー商戦の幕開けは昨年以上に好調だった。中でもECは成長を続け、感謝祭翌日のブラックフライデー(11月24日)に行われた小売業一斉割引セールでは、更に記録が破られた。ソフトウェアメーカーAdobe(http://www.adobe.com/)の調査部門Adobe Analyticsが発表した集計結果によると、感謝祭当日と感謝祭翌日のブラックフライデー(11月24日)のEC合計売上高は79億ドル(約8770億円、前年比17.9%増)となった。両日共に過去最高売り上げ記録を達成した。また、感謝祭休暇明けの月曜日、Cyber MondayのEC売上高は、米国過去最高売上65.9億ドル(前年比16.8%増)を記録した。因みに感謝祭とブラックフライデー両日に、実店舗を訪れた客は、昨年よりも1.6%減少したという。

■深刻化する消費者の実店舗離れ


オンラインショッピングの台頭で、年々顧客の実店舗離れが深刻化し、その結果、国内でも何百という店舗が閉鎖を余儀なくされているのが実情。かつて盛況であった郊外のモールも同様に、消費者離れが進み、集客のコアとなってきた百貨店が撤退。空き店舗が目立つところもある。
深刻化する消費者の実店舗離れ
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北米不動産調査会社Green Street Advisorsは、1月、米国内のモール1070箇所を対象に調査を行った。その結果、売り上げの減少、テナント入居率の低下、核店舗の不在等が原因で、閉鎖のリスクにあるモールが全国に330箇所あると指摘。特に、現在1960-1970年代に建てられ、百貨店が各店舗の役割を果たしていたところが最も厳しい状況に置かれているという。

■ショッピングモール変遷:①ジム誘致施策

今、ヘルスクラブやジムがショッピングモールのテナントとして人気だ。顧客離れが進むモールでは、顧客を呼びもどす対策の一環として、ジムやヘルスクラブを一昔の百貨店のような核テナントとして盛んに誘致しているという。この背景には、近年の健康ブームやフィットネスブームによりフィットネスセンターやジムの需要が増え、多様化したこと、また、高級志向の顧客を獲得している小さめのブティックジムの急増により、魅力的な他のテナントをモールに誘致できる事等が挙げられる。

ショッピングモール変遷:①ジム誘致施策
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国際フィットネス協会IHRSAの調査によると、米国でジムに所属している人の数は、昨年時点で5,700万人に上ると発表。これは米国全人口の19.3%にあたる。また、2009年からジムの会員数は26%も増加していることが判明。今後もジムの会員数は増加する見通しだ。

モール内にジムが併設されていれば、消費者は必然と週に何度かはモールに足を向ける。ジム後に、モール内のジュースバーやカフェの利用、食料の買出しにスーパーやグロッサリーに立ち寄ることができ、1箇所で数件の用が済む利便性も消費者にとっては魅力的だ。

事例
ショッピングモール変遷:①ジム誘致施策
courtesy of Wall Street Journal

・イリノイ州シカゴを拠点に置き、ショッピングセンターに投資を行っている不動産投資会社のGGPによると、今後10年位内におおよそ57のショッピングセンター内にフィットネスセンターの併設を予定。
・メリーランド州ボルティモアを拠点に数都市にオフィスを構えるショッピングセンター開発業者Phillips Edison & Companyも、170以上のグロッサリーを核テナントしたショッピングセンターにフィットネスセンターを導入。
・オーストラリアを拠点にするブリティッシュ・アメリカンショッピングセンター会社Westfieldが米国で展開するショッピングセンターの半数以上にヘルスクラブが併設されている。(事例:南カリフォルニアのSanta Anita店にはGold Gymが併設されている。)
・NYを拠点にするハイエンドジムチェーンのEquinoxは、フロリダ州アヴェンチュラのAventura Mall内にオープン。
・フロリダ州ボカラトンを拠点にするジムOrangetheory Fitnessは、最近、マイアミのマイアミデザイン地区とダウンタウンのDadeland Shopping mall内にオープン。

かつて、モールのテナントとして歓迎されなっかたジムやヘルスクラブが、今、モールを人々の生活、仕事、遊び場の拠点として再び変遷させようとしている。

■ショッピングモール変遷:②居住施設+商業施設

ショッピングモール変遷:②居住施設+商業施設
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1828年、ロードアイランド州プロヴィデンスにオープンしたThe Westminster Arcadeは、全米最古のモールと言われ繁栄したが、近年は、テナントが集まらず2008年に閉店を余儀なくされた。その後、2013年、居住施設と商業施設が集まった複合施設として再びオープン。客船からインスピレーションを受けた施設内は、1階にカフェ、レストラン、バーやショップが入った商業施設が入り、2階は38ユニットから成る居住施設(おおよそ20平米~27.9平米)となっている。また大きめのアパートメント8ユニットのほかに、ゲームルーム、ストーレージスペースやランドリー等も施設内に併設されている。このコンパクトなマイクロアパートメントは、主に大学を卒業したばかりの若い層や、郊外に住居を構え第2, 3の住居として市内滞在時にカプセルホテル感覚で使用する人をターゲットにしている。月の家賃は$880から。既にウィティングリストには4000人待ちの状況。