2018.10.10 - All , 海外レポート

映画“Crazy Rich Asians”:米国内のアジアンパワー

ifs New York

この夏一番注目されている映画といえば、“The Joy Luck Club”( 20世紀初頭のサンフランシスコを舞台に、中国から移住し苦難の人生を生きてきた4人の女性と、アメリカ人として生まれ育った彼女達4人の娘達の世代間の相違と心の絆を描いた作品)以来、25年ぶりに公開されたオールアジア人キャストのハリウッド映画 でアジア人の超富裕層の生活を描いたモダンロマンティックコメディ“Crazy Rich Asians”だはないだろうか。

映画“Crazy Rich Asians”:米国内のアジアンパワー
http://media.pauline.org/reviews/ArticleID/3697/Crazy-Rich-Asians%E2%80%94Cinderella-Goes-East
https://www.rogerebert.com/far-flung-correspondents/premiere-of-crazy-rich-asians-celebrates-a-continuing-asian-american-movement

“Crazy Rich Asians”は、Kevin Kwan氏によるベストセラー小説を映画化したもので、John M. Chu氏が監督として指揮を執った。Constance Wu演じる主人公Rachelは、中国系アメリカ人女性で、ニューヨーク大学の教授。ある時、Henry Golding演じる恋人のNickと共に彼の故郷シンガポールを訪れ、彼の家族と会うことになった。そこで、RachelはNickが大富豪の一族であることを知り、さらに彼の母Michelle Yeoh演じるEleanor が自分たちの交際に良い顔をしていないことを知る。。

2018年8月15日の映画公開から、3週連続で興行収入1位(北米の映画館で$1.1億ドル)という快挙を記録。映画評論家からも非常にポジティブな批評を受け、映画配給会社Warner Brosは次回作の準備も視野にいれているという。これまでハリウッドでは、アジア系アメリカ人の俳優が配役を得る事自体が難しく、役を得たとしても非常にステレオタイプな役どころが多かった。2016年、ハリウッドではアジア人俳優が配役を得たのが3%、一方で白人俳優は78%だという。この事からも分かるように、“Crazy Rich Asians”はキャスト全員が英語を話すアジア系の俳優で構成された、異例のハリウッド映画で、それまでのハリウッド映画の常識を覆した。

■米国に於けるアジア系アメリカ人の実態

映画“Crazy Rich Americans“の快挙は、アジア系アメリカ人の消費能力が食、テクノロジーからエンターテメントといった各業界、及び米国経済に多大な影響を及ぼしていることを改めて浮き彫りにしたといえるだろう。市場調査会社Nielsenの調査によると、米国に居住するアジア系アメリカ人は2180万人でこれは米国人口の約7%にあたる。米国国政調査局は、アジア系アメリカ人の人口は、今後もアジア諸国からの継続的な移民によって2019年までに2570万人に到達し、2055年までにはヒスパニック系アメリカ人の人口(現在米国人口の17.8%を占める)を抜くことになると予測している。

ワシントンDCを拠点にする非営利団体ProsperityNow (https://prosperitynow.org/)の調査によると、アジア系アメリカ人は、米国に於けるどの人種よりも裕福で教育水準が高く、その平均世帯収入は$74,829。この数字は米国の平均世帯収入$53,657(約595万円)に比べて39%上回る。その中でもインド系アメリカ人の世帯収入は、他のアジア系アメリカ人よりも高く、平均の世帯収入は$101,591(約1127万円)、続いてフィリピン系アメリカ人、日系アメリカ人、中国系アメリカ人と続く。また、25歳以上のアジア系アメリカ人の49%以上が学士号またはそれ以上の学位を取得しているという。これはアメリカ総人口(28%)よりも高い。

■米国に於けるアジア系アメリカ人の消費能力

米国に於けるアジア系アメリカ人の消費能力は2000年以降は257%増と、米国総人口の平均レベルを上回り、2017年には9860億ドル、2022年には1.3兆ドルに達すると予測されている。アジア系アメリカ人の世帯消費支出は、年間$61,400(約682万円)。米国平均世帯の世帯消費支出$53,510 (約594万円) を上回る。

-オンラインでの消費習慣

過去1年間に於ける、アジア系アメリカ人のオンラインショッピング平均消費額はおおよそ$1,151(約127,800円)で、非ヒスパニック白人系アメリカ人の消費額の20%を上回った。その中でも昨今、ミレニアル世代のアジア系アメリカ人のオンラインでの購買力の増加は、目覚しいものがある。非ヒスパニック白人系アメリカ人に比べ、衣服やアクセサリーのカテゴリーに於いてオンラインでの購入割合は13%高かった。また、2017年度のミレニアル世代のアジア系アメリカ人がオンラインで購入するコンピューター関連は63%、航空券53%、電化製品52%、スキンケア40%、キッチン用品37%、コスメ47%、ヘアケア製品18%と他の民族系アメリカ人の中で最も高い割合であったことが報告されている。

-米国社会や文化に与える影響

ミレ二アル世代を筆頭とするアジア系アメリカ人が米国社会や文化に与える影響は年々に大きくなっている。Nielsenの調査によると、アジア系アメリカ人の124%が世界最大のローカルビジネスの口コミサービスYelpを使用。92%がブログを書いたり読んだりし、51%がレストランのレビューを常に参考にしているという。アジア系アメリカ人の食に対するパッションはもはや一部の人達の間だけでなく、全体的に主流になりつつあり、レストランも彼らのニーズを汲んだ新しい外食トレンドやオプションを提供し始めている。

米国に於けるミレ二アル世代のアジア系アメリカ人が及ぼす影響は、益々拡大を遂げ、その消費動向からは目が離せない。