2021.02.1 - 太田の目

移動と交流が生み出す空気感

マーケティング開発第1グループ

太田 敏宏

新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐためにとられた措置は、人々の「移動」と「交流」の制限である。
これまで人々は、通勤という「移動」、買物という「移動」、飲食という「交流」とそのための「移動」を毎日のように行ってきた。年に数回は、旅行という「移動」「交流」を楽しみにし、長期の休みには帰省という「移動」と懐かしい人達との「交流」をしてきた。また、コンサートやライブ、スポーツ観戦のために「移動」し、プレーヤーやアーティストとファン、あるいはファン同士は「交流」をしてきた。ビジネスにおいても出張という「移動」や「交流」を国内だけでなく、海を渡って行うことで経済を活性化してきた。
「移動」やフェイス・トゥ・フェイスの「交流」ができない代わりに、様々なことがオンラインで行われるようになった。オンライン会議、オンライン帰省、オンライントラベル、オンラインショッピング、オンラインライブ…。様々なサービスやビジネスが、オンラインに置き換えられた。それでも「移動」「交流」が止まったことで経済が疲弊した感は否めない。直接、「移動」「交流」に関わる、鉄道、航空、観光、飲食などの業種が苦境なのは理解できる。しかし、モノの生産や流通が止まっているわけではなく、白物家電のように国内出荷額が24年ぶりの高水準になったという業界まである。一方でオンライン化やデジタル化が進み、様々なことがスピードアップしたと思いきや、逆に様々な手続きの遅滞が生じているという。
裏を返せば、日本のビジネスはいかに「移動」と「交流」がベースになっていたのかがわかる。デジタルという武器を持ってしても、埋められない何かが存在している。それは、「空気」の違いかもしれない。ビジネスにおいては、人の細かな表情で「空気」を読んだり、あうんの「呼吸」があったり。ライブやイベントでも会場が一体になる「空気感」が生む興奮もある。旅もある種の「空気感」を感じに行く行動とも言える。
デジタルは、直接的な情報を伝えることは得意だが、その場の「空気」など間接的な情報を伝えるのはまだまだ難しい。それが可能になった日には、デジタルはもっと経済を活性化することができるのだろう。