2021.03.26 - 太田の目

商店街という集客装置

マーケティング開発第1グループ

太田 敏宏

コロナ禍で都心の大型商業施設や百貨店が苦境になる中で、都心の近くにある商店街には却って来街者が増加しているところもあるという。昨年の緊急事態宣言では、大型施設が休業する中で、商店街は中小の商店の集まりだから、休業要請の対象外だったということも、もちろんある。だが、商店街への来街者増加は、それだけの理由ではない。
コロナ禍以前から、商店街は注目されていた。街歩きや食べ歩きがブームとなり、その舞台の一つになったのが、商店街である。“食べ歩く”には、いくつかのテイクアウトフードの店が狭いエリアに集積していなければならない。また、メニューにバリエーションが必要になる。さらに、歩きやすい道が必要である。商業施設の中では、食べることができても、食べながら歩くのは難しい。一度では食べ切れないバリエーションがあるから、リピートにつながる。こういう条件を満たすのが、商店街なのである。
また、住みたい街ランキングが、毎年いくつかの機関で発表されるが、その人気にランクされる街の共通点に、古くからある商店街の存在が挙げられる。おしゃれな街であることは人気を獲得する上で必要だが、暮らしやすさや暮らしを楽しくする上で、商店街の魅力が再注目されている。大型のスーパーはワンストップで買物ができて便利だが、毎週通っていると、その品揃えに“飽き”が生じてくるのも事実。その時にバラエティ性を補完してくれるのが、商店街だ。また、商店街を建物内に取り込んだショッピングモールはどうか?これも、便利ではあるが、モールの中にある店は、いわゆるチェーン系の店が多い。また、商店街にある、店主との会話などのコミュニティ性を出すのも難しい。
商店街という存在が、生き続けているのは、人口の集積がある大都市の中だけである。地方においては、がんばっている個店は存在しても、商店街全体が生き残っている街は少ない。地方で商店街が生き残る条件は、“観光”である。観光地にあれば、先述した“食べ歩き”ニーズを満たす存在として商店街が機能する。大都市にある商店街は、生活を支える側面と、観光という側面の両方を兼ね備えている。
EC化やデジタル化が加速する中で、商店街という“超アナログ”が再注目されるのは、ある意味において必然なのかもしれない。