2018.10.3 - All , モノを買わない世代の気分消費

~コト消費のその先は?~
今、新たに注目が集まる「純喫茶」。
若者を惹きつける魅力は、「原点を感じさせるシンプルさ」と「押し付けがましくない在り方」

ブランディング第4グループ

土師 ゆきの

今やコンビニより店舗数が多いと言われる喫茶店。サードウェーブコーヒーブームを背景に、若者たちからの注目を浴び、家や学校・職場に次ぐ「第3の居場所(サードプレイス)」として時間を消費する場所となっています。そんな中でも今、話題の中心となっているのが中高年男性の憩いの場というイメージが強い「純喫茶」です。書籍も続々と発売されているほかファッション誌でも取り上げられるほどで、Instagramでも「#純喫茶」と検索すると若者によって投稿された写真が沢山でてきます。今回はなぜ今、若者が純喫茶に魅力を感じているのか、新宿にある老舗の2軒に足を運んで共通するポイントを探ってきました。

純喫茶は喫茶店の中でも酒類を扱わない喫茶店のことを言います。個人経営の店舗も多く、大手コーヒーチェーンの進出や経営者の高齢化によって閉店してしまう店舗も少なくありませんが、オーナーのこだわりや古き良き昭和を感じながら、時間がゆっくりと流れる空間となっています。純喫茶人気の理由の1つには、近年のサードウェーブコーヒーやカフェ飯ブームなどを経験している今どきの若者にとって、スタンド型のテイクアウト専門店やアルコール類を提供するカフェへの馴染みが深いため、寛ぎながら静かに過ごすという一見なんてことのないことに新鮮さ感じているのではないかと考えられます。

1975年創業の24時間営業の「珈琲貴族エジンバラ」は、「サイフォン式(気圧によって湯を移動する仕組み)」を用いて、時間をかけて珈琲を淹れてくれます。名物の「カフェオーレ」は店員さんが眼の前で珈琲とミルクをカップへ注いでくれるパフォーマンスを楽しめ、店内には自由に読める新聞や雑誌が揃っているほか、若者にとって必須とも言える無料Wi-Fi、コンセント、コピー機完備といったうれしいサービスがたくさんありました。

珈琲貴族エジンバラ
続いて訪れた「名曲・珈琲らんぶる」は、新宿の街で60年以上営業している老舗です。店内にはクラシック音楽が流れ、シックなシャンデリアや重厚感がある赤いソファー席は、非日常感溢れる雰囲気でした。チェリーが乗ったレトロな色合いのソーダ水やクリームソーダが人気のようで、フードやデザートも今どきのカフェにはないメニューがとても魅力的に感じました。

名曲・珈琲らんぶる

この2店で過ごしてみて共通していたことは、昔ながらのサービスや空間でのリラックスした過ごし方に加えて、店側からの「これおしゃれでしょ?かわいいでしょ?」と言うような押し出し感がなかったことです。今どきの若者の中でも特にLINE世代は、インスタがコミュニケーションの主軸であり、インスタ映えを意識したモノやコトに囲まれて生活しています。常にキラキラしたおしゃれなコト・モノに触れているため、「素朴なシンプルさ」は珍しく、キメすぎていないおしゃれなこととして受け入れられ始めていると考えられます。それに加えて押し出し感がないことは、サービスの魅力や個性について「素敵かどうか」受け手側の判断に委ねてもらえているようで、気楽な気持ちで過ごせることに繋がると思いました。団塊世代をはじめとする上世代には、馴染みのある純喫茶ではありますが、この「押し付けがましくない在り方」と「原点を感じさせる素朴なシンプルさ」は、今どきの若者にとってもほっとする時間と空間を提供し、新しい時間の過ごし方としてその魅力が伝わっているのだと思いました。