Generation Zの特性とサステーナビリティ

ミレニアル世代の後続世代として、その消費動向に注目が集まるジェネレーションZは、他世代よりも高学歴で環境問題に非常に大きな関心があることが大きな特徴。キャンパス選びに於いてもサステーナビリティを優先事項の一つとしており、環境保全に熱心。ジェネレーションZ世代に対して大学側も大きく変化しており、同世代の特性と共にキャンパスにおけるサステーナビリティ事例を紹介させていただきます。


Generation Zとは

1994年から2010年代半ば生まれの8歳~24歳(文献によっては1998年以降の生まれをさす)。米国人口(2017年時点で約3億2570万人)の26%。2020年には、人口の3分の1を占めると予測されている。Z世代は、現在米国人口に於いて最も大きな割合となり、その消費力は約440億ドル(約4.8兆円)を上る。彼らの多くがジェネレーションX世代を両親に持ち、ミレニアル世代よりも現実的な世界観を兼ね備えながらも、独特の感性を持つと言われている。
幼少期に9.11を体験した世代(生まれていなかった人々もいる)で、不安定で不確実な社会、親の苦労した姿を目のあたりにしているため、社会には不確実さがつきものであることを実感。常に安全または無難を心がけ、無茶で衝動的な行動を避ける傾向にある。

特徴①「スマートフォン」
「ソーシャルメディア」「ソーシャライジング」

幼少の頃からスマートフォン、iPadがある環境で育ち、最新のテックトレンドはいともたやすく習得可能。サービスのスピードを重視する点がミレニアル世代と異なる。一方で注意力が散漫で飽きやすく、長く持続しない、動画や画像によるコミュニケーションを好み、長文のテキストは苦手といった特徴も指摘されている。また、Facebookのようなネット上でのアクティビティが残るオープンなSNSを敬遠し、スナップチャットのように時間がたてばすぐに消えるようなサービスを好む。
彼らは、ソーシャライジングの大半をソーシャルメディア上での相互コミュニケーションに費やし、友人との絆を深めたり、新しい友人の開拓に精をだす。また、実世界で会わないような人々とも、ソーシャルメディア上でコミュニケーションを積極的にとる傾向がある。
ある調査によると、ジェネレーションZの64%が「人生の中でスマートフォンが最も重要なもの」、45%が「ソーシャルメディアが最も重要」だと回答。また、92%が日々オンライン上にサインアップしており、24%が常に絶え間なくオンライン上にいると答えた。

特徴②現実的であること、共感できること
「現実的」「共感」「繫がり」「透明性」「エシカル」「本物」「パーソナリゼーション」「時間」「経験」

ジェネレーションZは、他世代に比べリアルな人々の生の声に耳を傾け、それを自身の購買の判断基準にする傾向が強い。例えば、ジェネレーションZの65%がソーシャルメディア上で商品のレビューをシェアし、参考にしていると回答。これは、広告を意識したセレブや専門家の声よりも、実際のユーザーの意見に共感する傾向を顕著に表している。
自分がコネクトできたり尊敬できたりするような、等身大の人々が発信するライフスタイルやその発言に価値をみいだす傾向にある。キーワード「現実的」「共感」「繫がり」「透明性」「エシカル」「本物」「パーソナリゼーション」「時間」「経験」。

特徴③透明性とサステーナブルな活動

ジェネレーションZはミレニアルズと同じく大量消費を嫌い、自分の購買が社会貢献に繋がっているかを大事に考える。モノも製造過程や透明性に拘り、作り手と買い手の間で搾取のないことを重視し、少量生産、地元産やサステーナブル(持続可能性)に拘る。Harvard Business Reviewの記事によると、(https://hbr.org/)ジェネレーションZの88%は、ブランドは社会、環境への負担をかけないだけではなく、率先してエシカルで社会貢献するべきだと考えている。また政治に絡んだポジティブなメッセージを発信するべきだとも考えている。

courtesy of Masdar
Abu Dhabiを拠点にする再生可能エネルギー会社Masdar(http://www.masdar.ae/)は、世界のジェネレーションZの気候変動、持続可能な開発、再生可能なエネルギーやその他のチャレンジに関する初の意識調査「Masdar Gen Z Global Sustainability Survey」を2016年に行った。調査では、40%が気候変動は今後10年世界が直面する最も大きなチャレンジで、貧困、テロ、失業問題よりも進んで取り組む問題だと回答。また、50%が人々の意識の変化こそ、ポジティブな変化を呼ぶと答えている。この世代は、“透明性”に重きを置き、自分たちで具体的な行動とること、環境を守るために自身のライフスタイルを喜んで変えることを厭わない特性が窺える。

■持続可能なキャンパス ライフスタイル

今日、米国における多くの大学がサステーナブルな施設を建設しており、また生徒たちによりグリーンなライフスタイルを採り入れるように働きかけている。

事例①Cornell University (https://www.cornell.edu/)


courtesy of Cornell.edu
ニューヨーク州イサカに広大なキャンパスを構えるCornell Universityは、持続可能なキャンパスライフを促進するパイオニア的存在。サステーナブルな建造物や庭園はもとより、気候変動、エネルギー、持続可能な食生活への取り組みを徹底して実践。
2017年、オンライン上にサステーナブルキャンパスとコミュニティマップをローンチした。生徒たちは、ワンクリックで、水筒に水を入れる場所、バイクシェア・カーシェアロケーション、環境に優しいトレイルルート、 電気自動車の充電所、キャンパスにあるサステーナビリティセンターや施設等を検索できるというもの。

事例②Princeton University (https://www.princeton.edu/)


courtesy of Princeton University
ニュージャージー州プリンストンにキャンパスを構えるPrinceton University は、持続可能なキャンパスライフの一環として、サステーナブルなバイクシェアシステム「Zagster」(https://www.zagster.com/)を2016年にキャンパス内に導入、教師陣、スタッフ、生徒の間で好評を得ている。 Zagsterは、マサチューセッツ州ケンブリッジを拠点にするスタートアップバイクシェア企業。米国内ではPrinceton Universityを初め、8つの大学に既に導入。メンバーは、スマートフォンから$20のフィーを支払い、リストにあるどのロケーションからでも自転車を借りることができる。2時間以内のレンタルの場合は無料、その後1時間毎に$2がチャージされるシステム。

カフェテリアにおける新しいキャンペーン:
Trash Hunger, Not Food

ジェネレーションZは、自分たちの食習慣が環境に与えるインパクトにも非常に配慮する世代。US Department of Agriculture(米農務省)によると、米国のゴミ処理地に於いて、食品廃棄物は最も大きな割合を占め、毎年、1万トン以上の手のつけられていない食品が米国の大学キャンパスで廃棄されているという。そこで食品の廃棄を減少させるための試みがスタートし始めている。


courtesy of UW Foodie

University of Washingtonの学生食堂では、膨大な量の余った食品をお腹をすかしている学生、学校の職員やスタッフ、またはホームレスに提供することなく廃棄していた。その現状を目の当たりにした在校生徒が、学校のダイニングホールから出る食品廃棄物を減らすために、新しいサステーナブルなシステムアプリ「UW Foodie」(https://www.carolyuan.me/uw-foodie)を考案。このアプリは、キャンパスのどこに、どのようなフードがどれだけ残っているかを表示。学生は、キャンパス内でフードの残っている施設に行き、そこに設置されているガジェットからUW Foodieのアプリにログインし、何をどれだけ食するかを画面上で手続きするだけ。現在はアプリの最終承認待ちだという。
ここに面白い調査結果がある。全米最大級の試験対策校Princeton Reviewが行った2015年の調査によると、60%の生徒が環境保全に注力しているかを大学選びの判断材料の一部にしているという。ミレニアル世代と類似点は多いものの、絶対的な安全と安心を追求し、社会貢献や環境保全にどの世代よりも注力している。



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