コロナ禍に於けるMicromobilityの変化

コロナ禍に於いて、人々は地下鉄、バスやライドシェアといった密閉区間のリスクを気にして公共交通機関の使用を避ける傾向にある。定期的に地下鉄の消毒がなされ、地下鉄の本数を増やす事で、通勤者のソーシャルディスタンシングを保つように努めているものの、未だ市内居住者の多くは、密閉性が高い地下の通勤手段を避け、時間はかかっても極力地上で移動するように努めているようだ。


公共交通機関の代替オプションとして、マンハッタン市内では、外気に直接触れる事のできる二輪のCiti Bikeに加え、電動スケートボード、Revelのスクーターや電動Kick Scooterの利用が格段に増え、公共交通機関以外のオプションへの興味・利用が増加傾向にありMicromobilityの変化が顕著だ。ある人は、3月23日から地下鉄の使用を止め、ミッドタウンの自宅からダウンタウンの職場まで週に2回通う際に、晴れの日はRevelのスクーターまたはCiti Bikeで、雨の日はUber(窓を全開にして)を利用している。またある人は、市内の移動の際に、これまで趣味で乗っていたスケートボードやロングボードを移動手段として利用しているという。
今回は、コロナ禍に於けるMicromobilityの変化と題して、公共交通機関の代替オプションとして人気のサービスをレポートさせていただきます。

電動スクーターのライドシェアサービスLime

https://www.li.me/electric-scooter
昨今、公共交通機関に代わる様々な移動オプションに注目が集まっているが、その中でも電動キックボードのシェアが圧倒的に拡大している。その背景には、大都市に於ける交通混雑の緩和、時間の節約、環境に優しいといった利点が利用者に支持されている事が挙げられる。
電動スクーターのライドシェアサービスLimeは、2017年、カリフォルニア州サンフランシスコを拠点にBrad Bao氏とToby Sun氏の両者によって設立された。
同社は、電動スクーター以外にも電動自転車や普通自転車のシェアリングサービスを展開。毎日のように車やUberを使い交通渋滞に嵌っていたというBao氏とSun氏は、その解決策として単なる移動の代替オプションとしてではなく、コスト節約や環境への配慮にも繋がるソリューションとして、車中心の生活から人中心の生活を可能とする電動スクーターのライドシェアサービス「Lime」を考案。
Limeが発表したレポートによると、車の代わりにLimeの電動スクーターを利用することで、ユーザーは1日$26の節約、年間200kgものCO2を削減することが判明。また、同スクーターの利点として電動自転車のようにドックを探す必要がなく、アプリで近場の電動キックボードを探すことが可能な点、スカートやスーツ等どのような服装でも乗車することが可能な点や、年齢や性別を問わず利用できる点が挙げられる。
使用方法は、まずアプリをスマホにダウンロードし、スマホで近くにあるレンタル可能なスクターの位置を検索、次に使用するスクーターのQRコードをスキャンして開錠し、乗車をスタートするシステム。Lime電動スクーターは、18歳以上から乗車可能で走行中は自転車レーンを使用しヘルメットの装着が必須だ。2020年5月にUberが主導となり、1億7000万ドル(約180億円)のベンチャー投資を受け、累計で約9.3億ドルの資金を調達に成功している。

電動シェアバイクJump

https://www.uber.com/be/en/ride/uber-bike/
大都市に於ける移動手段の解決策として、近年、電動バイクの動向に注目が集まる中、Uberもバイクシェアシステムを使用する事で、アーバンモビリティのワンストップショップになる事をゴールに掲げ、2018年、電動シェアバイクJumpを買収。
Jumpは2010年、Ryan Rzepecki氏によって、カリフォルニア州サンフランシスコで「Social Bicycles, Inc.」としてドックレススクーターや電動自転車のシェアリングサービスを提供する企業として誕生。
2018年までに世界6カ国で15,000台の自転車が配置展開され、500万人のユーザーを記録。同社は、2018年1月にリブランディングを行いSocial Bicycles, Inc.からJumpとしてスタートを切った。同年にはUberが、2億ドル(約211億円)でJumpを買収。前述した通り、UberはLimeにも出資を行なっており、今年の5月初旬にUber主導により、Lime は1億7000万ドル(約180億円)の資金調達に成功。この取引の一環として、LimeはJumpの事業を吸収し傘下に納めた。

一輪電動スケートボードOnewheel Pint

https://onewheel.com/
このコロナ禍に於いて、ある人はそれまで趣味で乗っていたスケートボードを、地下鉄やバス等の公共機関を使用する代わりに市内の移動手段として利用。電動スクーターや電動自転車のレンタルは、言うまでもなくコロナ禍の交通手段として高い需要があるが、一方で、借りるのではなく自分専用の移動手段として電動スクーターや電動スケートボードの購入をする人が増えてきている。昨今、人気を集めているのが、革新的な一輪電動スケートボードOnewheel Pintだ。
Onewheel Pintは2014年、カリフォルニア州サンタクルーズを拠点にKyle Doerksen氏が開発した電動スケートボードブランド。
自身もスノーボード愛好家として知られるDoerksen氏は、新雪でスノーボードをする時の感覚をどこでも味わいたい、そのような感覚を楽しめる通勤の際の移動手段があればとの思いから電動スケートボードOnewheel の開発に至ったという。
その後、オリジナルモデルのOnewheelのパワーを強化した大型モデルOnewheel+ XR($1799)を2018年に発売し、2019年に新型の小型軽量モデルでOnewheel+ XRに比べボードの長さが短く価格帯が手頃なOnewheel Pint($950)が登場。Onewheel Pintは、走行距離6~8マイル、シンプルストップと呼ばれる安全機能が追加され、アプリでシンプルストップ機能をオンに設定すると後方に傾けるだけで、ボードが停まる仕組みだ。

電動オートバイのレンタルRevel


https://gorevel.com/new-york/
ブルックリン発、電動オートバイのレンタル、シェアリングスタートアップのRevelは、大都会でも公共交通機関に頼らずとも簡単に移動ができることが人気だ。現在は、New York, Austin, Miami, Washington D.C., Oaklandでサービスを展開。
昨年の秋には、270万ドル(約2.9億円)の2回目の資金調達に成功。この5月には、新型コロナウィルスの感染症のパンデミックの影響で、新規のサービス加入者が3万人を超えたが、需要が益々高まっていた矢先、ニューヨーク市内で二件の死亡事故が相次いで発生。現在はニューヨーク市のみサービスを停止し、事故原因の究明や安全性などの見直しを実施している。
電動自転車や電動キックボードに代表される都市型モビリティは、コロナ禍に於けるニューノーマルに於いて、人々の新たな足として益々定着していくことが予想される。



無料メルマガ登録はこちら!

ビジネスリーダーに役立つ記事やブランドマーケティングに関する情報などを随時お届けしております。

ページの先頭に戻る

お気軽にお問い合わせください

ブランド開発、マーケット開発、クリエイティブ開発に関する
ご相談を受け付けております。