コロナ禍に於けるアクティブウェアブーム

世界中で新型コロナウィルス感染症の感染拡大を防ぐためのロックダウンが敷かれ、その影響で特に、ファッション業界は大打撃を受けた。その一方で、コロナ禍に於いて猛烈な売上を上げていたのが、スウェット、スポーツクロップトップやヨガレギンスといったアクティブウェアだ。Zoomコールにも対応できるようなファッション性の高いコンフォートウェア、タイダイ柄のスウェット、パステル調のクロップトップとヨガレギンスのセットはインスタグラムのポストやTikTokのチャレンジビデオ用に飛ぶように売れた。多くの人々が自宅で大半を過ごす事になった今、スウェットやヨガパンツは家でのユニフォームと化し、トイレットペーパーやパン作りキットと並び、自宅で過ごす必要不可欠なアイテムになったことで、ECの爆発的な売り上げに繋がった。追跡会社Edited(melitegroup.com)の調べによると、米国に於ける4月1週目のアクティブウェアの売上は、前年比40%増、英国では97%増だった。 今回は、コロナ禍で売上を伸ばし、ビジネスを拡充したアクティブウェアブランドを幾つかご紹介させて頂きます。


コロナ禍でECの売上が伸長した新進アクティブウェアブランド
Live the Process

https://livetheprocess.com/
NY発、Robyn Berkley氏によって2013年に設立されたファッション性の高いボディスーツ、バレエレギンスやニットのスウェットを展開するLive the Processは、パンデミックで実店舗と主要取引先の出荷業務の停止が重なったものの、一方でECの売上が急伸。ビフォーコロナでは、同社ビジネスの60%を卸が占めていたにも関わらず、コロナ禍の急激なECの売上にも対応できた背景には、自社のサプライチェーンを持ち、自社工場と自社倉庫を経営していたことが強みであったと考えられる。また、Robyn Berkley氏によると、Instagramのライブストリームのコンテンツ(ファッションインフルエンサーが同ブランドを着用してエクササイズをするシーン)の影響で、ユーザーが製作・生成したコンテンツUGC(User Generated Contents)が倍になったと語る。

856%の売上を記録した人気上昇中のアクティブウェアブランド
Gymshark

https://www.gymshark.com/
Gymsharkは、Ben Francis氏とLewis Morgan氏によって2012年、英国のソリフルを拠点に設立されたアクティブウェア・アクセサリーブランド。ミレニアルズや Z世代といったフィットネス好き世代やジム愛好家から根強い支持を得ており、YouTubeのエクササイズビデオではGymsharkのウェアを着こなすフィットネスインフルエンサーを多く目にする。データ会社Earnest Research(https://www.earnestresearch.com/)のデータによると、Gymsharkの米国に於ける売上がコロナ禍で急上昇しているという。7月、8月のオンラインでの売上は前年比163%増。また、7月1日の週の売上が856%増と驚異的な数字を叩き出した。
ソーシャルメディア上で話題沸騰中のGymsharkのInstagramには、フィットネスインフルエンサーらのジムでのトレーニングやエクササイズ、6つに割れた腹筋や筋肉隆々の上腕二頭筋のポストで埋めつくされている。過去一年間で、Gymsharkは、インフルエンサーキャンペーンを測定する為の測定基準EMV (Earned Media Value)に於いて$200 billion EMVという数字を生みだした。これは、lululemonのEMVのおおよそ3倍にあたるという。Gymsharkの成功は、強いオンラインプレゼンスに加え、手頃な価格帯と起用しているDenice Moberg氏やLex Griffin氏をはじめとするGymsharkが契約するインフルエンサー人気、そして消費者との繋がりやブランドへの共感が成功のカギだと言われている。

ECとサブスクリプションビジネスを制し急成長する
Alo Yoga

https://www.aloyoga.com/
分析会社Similar Web(https://www.similarweb.com/)によると、LAを拠点にするアクティブウェアブランドAlo Yogaは、3月から7月の間のウェブトラフィックに於いて、前年比132%増を記録し、米国で最も成長の早いアクティブウェアブランドに君臨した。ロックダウンが強行された際、国内7つの旗艦店とヨガスタジオの閉鎖を与儀なくされ、その結果として卸売注文と小売りの売上を失ったが、ほぼ影響を受けなかったという。何故ならばAlo Yogaのビジネスの90%は、ECの売上と“Alo Moves”と呼ばれ、サブスクライバーが、ヨガやフィットネスクラスをオンデマンドで受けることができるサブスクリプションビジネスの二つから成り立っているからだ。
元CEO兼共同設立者のDanny Harris氏によると、”Alo YogaのECの売上は、昨年に比べて3倍以上の売上を伸ばし、クラスサブスクリプションは、おおよそ6-7倍増となっているという。この現象は、多くのヨガスタジオがコロナのパンデミックを受けてスタジオの閉鎖を与儀なくされるなか、Alo Yogaのデジタルプラットフォームはパンデミック禍に於いてもエクササイズを継続したい人に必要な場所を提供し、彼らにとって大きなベネフィットをもたらした”と強調した。

デジタルサービス商品を強化する
初のラグジュアリーアクティブウェアブティックBANDIER

https://www.bandier.com/
NYを拠点に、元大手の音楽エグゼクティブJennifer Bandier氏が設立した初のラグジュアリーアクティブウェアブティック。ブランド設立当初は周りから”ラグジュアリーなアクティブウェアなんて聞いたこともないし、最悪のアイディアだ”と酷評されていたというから驚きだ。
2004年の設立以来、セレブやインフルエンサーから熱烈な支持を受けているBANDIERは、新型コロナウィルス感染症のパンデミックを受けて、売上のおおよそ半分を占める旗艦店7店舗の一時的な閉鎖を与儀なくされた。しかしながら、デジタルセールスとウェブサイトの再ローンチが功を奏し、コロナ禍でもECが、70%の成長を遂げた。今のところ、BANDIERは、長期的なECビジネスへのシフトを視野に入れ、ライブストリーミングクラスといったデジタルサービス商品の強化が、顧客のエンゲージメントを高めることに繋がり、コロナ禍という難しい時期に於いて、顧客へのサポートを提供することが顧客からのロイヤリティを得ることに繋がると考えているという。
Bandierは、10月14日にLAを拠点にするコンテンポラリーブランドALCとファッション ✕ フィットネスコラボレーションをローンチ。ワークアウト、ホームウェア、街着として兼用できるパフォーマンスアスレティックウェアをコンセプトに、トップス、レギンス、ジャンプスーツ、テクニカルファブリックを使用したフーディやブレザー12アイテム ($98-$198)を展開する。
アクティブウェア市場は、ビフォーコロナに於いても既にホットな市場であった。ロンドンを拠点にする調査会社Euromonitor(https://www.euromonitor.com/)の調査によると、アクティブウェアの売上は、2024年までに年平均成長率おおよそ5%で成長してくと予測。これはアパレル市場全体の成長率の倍だと言われている。
多くのアクティブウェアブランドがコロナ禍に於いて、ソーシャルメディア上でワークアウトのライブストリーミングを配信。今後もアクティブウェアブランドのライブイベントは定着し、当分は、アクティブウェアブランドブームが続くと予想される。

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