新品好きの日本人は他人のお古で心が満たせるか?

全てのものが「所有価値」から「使用価値」にシフトしつつあるという。日々の暮らしに必要なものは、どこかから、レンタルするか、誰かとシェアするか、サブスクリプションを利用すればいい。都度、最も効率的で、最もパフォーマンスに優れたものを調達し、必要なくなれば返せばいい。実にスマートな選択である。

しかし、これだけで日本人の心を満たすことが可能なのかという疑問に突き当たる。日本人は昔から「新品好き」である。わざわざ新年のために新しい下着を買ったり、なにかを新調するために仕事を頑張ったりする気質がある。「女房と畳は新しい方が良い」という、今ではコンプライアンス違反のような故事があるように、何でも新しいものは清々しいと思う国民性がある。物心ついた頃から、「いつもお姉ちゃんのお下がりは嫌だあ」と親に戦いを挑んでいた人は、中古やお古には抵抗がある。

シェアリングエコノミー時代とはいえ、レンタルもシェアリングも中古が中心になる。サブスクリプションもサービスによっては中古になってしまう。常にお古しか使えないということでストレスが溜まったりしないのだろうか?

「新品も買った瞬間だけが新品で、翌日からは中古じゃん」というご意見もわかる。しかしながら、「新品を手に入れた」という気持ちや買った時の思い出は、その商品を使っていく過程でなんども蘇る。新品を買ったことで、思い入れが深くなり、丁寧に取り扱ったり、修理して長く使ったりするマインドが育つ。使えればいいという合理性だけを優先する考え方は、日本人に合っていないような気もする。

新品の提供が無理であるなら、新品を手に入れる以上の満足度を提供できるシェアリングがあってほしい。効率だけのシェアリングは、モノを大事に使うマインドや、モノを手に入れることでモチベーションが上がるという精神的効果も薄れてしまうのでないかと案じてしまうのは、私だけだろうか。

著者情報

第1ディビジョン マーケティング開発第1グループ 小売業やメーカー向け戦略策定、商業デベロッパー向けの戦略・コンセプト策定・ディレクションなどが主な業務。時代を独自に読み解く視点で執筆・講演も行なう。同社ホームページにて「太田の目」を連載中。オリジナル調査「Key Consumer Indicators by ifs」のディレクターも務める。1963 年生まれの「ハナコ世代」。あいみょんの大ファン。

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