スタートアップの終わり?【ifsマーケター連載:太田の目】

繊維月報の連載など、外部への執筆・講演でもおなじみの ifs 名物プランナー太田敏宏による、時代を独自に読み解くコラム「太田の目」。

今回は米シリコンバレー銀行の経営破綻に端を発している、経済界の潮目の変化を分析します。

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アメリカのスタートアップ企業の強い味方で合ったはずのシリコンバレー銀行が経営破綻した。
まさに西海岸のテック系の勃興を支え、イノベーションの下支えになっていたはずだ。これらの企業に期待を持って投資していた人たちに、投資を思いとどまらせるような、心理的な影響が及ぶことも懸念される。「スタートアップにこんなに資金が集まっているんですよ。」なーんて言っていた人たちも、ちょっと大人しくなるはずかもしれない。確か、どこかの国の政府も、つい最近、”イノベーションを創出し、大きく成長するスタートアップは経済成長のドライバーとなる”って言ってませんでしたっけ?

「いや、いや、スタートアップは難しくても、GAFAMみたいな巨人企業が・・・。」なんて言葉も通用しない。数万人規模のリストラがまさにGAFAMで起きている。「これからは、DX=デジタルトランスフォーメーションの時代ですよ。」という言葉も、説得力を失いつつある。

シリコンバレー銀行の破綻は、飛び火するような形で、クレディ・スイスに信用不安が起こるという自体を招いている。子供の頃から、お金持ちの真似といえば、「スイスの銀行に預けておりますの、オホホ。」というセリフだった。それだけ、スイスの銀行というのは富裕層から絶大な支持を受けるような信用力がある存在だったはず。
不確実性と言われる時代だからイノベーションが必要だとか、不確実性の時代だからGAFAMがますます力を発揮するとか、不確実性の時代だから資金を安全に運用することが大切だとか・・・。「不確実性」を枕詞に据えておけば、なんとなく安心できた時代から、本当に「不確実」なんだという自覚しなければならない時代に突入したのかもしれない。

将来なりたい職業のランキングで、「会社員」という答えが1位というニュースを聞いた。ファンドマネージャーよりも、子どもたちの方が時代の変化を敏感に察知しているのかもしれない。

著者情報

第1ディビジョン マーケティング開発第1グループ 小売業やメーカー向け戦略策定、商業デベロッパー向けの戦略・コンセプト策定・ディレクションなどが主な業務。時代を独自に読み解く視点で執筆・講演も行なう。同社ホームページにて「太田の目」を連載中。オリジナル調査「Key Consumer Indicators by ifs」のディレクターも務める。1963 年生まれの「ハナコ世代」。あいみょんの大ファン。

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