5年後にはポストバブル世代の子どもがいよいよ消費の自由裁量権を獲得する

ポストバブル世代の筆頭、団塊ジュニア世代の子どもが、あと数年で20代に突入する。この世代は、等身大であることを重視し堅実志向の強い親世代に育てられているだけでなく、不況ムードを全身に受けており、堅実さとともに安心志向を強めていると思われる。この、今後新たな生活者像を築くであろう世代を、今号では「今どきハイティーン(※)」と名付け、中でも女子にフォーカスし、ポストバブル世代の子どもたちの消費態度の一端をご紹介したい。 ※伊藤忠ファッションシステム株式会社では、今年度中に当該世代名を決定する予定

■親からも、時代からも取捨選択意識がインプットされている


「ライブには結構行きますけど、グッズは買いません。どうせ飽きてゴミになるだけだから、お金の無駄よって姉に言われて…それもそうだなって思ったので」と、ある女子高生。「マンガはマンガオタクの友達の家で読ませてもらっています」と、あくまでも自腹は切らない。お小遣いの限られた学生というライフステージならではの回答ともとれるが、ひとつ上のLINE世代女子がライブなど盛り上がった場で仲間と一緒にグッズを買うといった気分消費を繰り広げていたことを考えると、消費モードが明らかに異なる。親の団塊ジュニア世代は、バブル崩壊期と社会人デビュー期が重なり、消費に対しシビアな目を持たざるを得なかった人たち。等身大の自分を維持することにもエネルギーが必要だった。自分に合った心地よい暮らしを志向し、クオリティの良いものも購入するが、無駄な消費はしたくないと思っている。今どきハイティーン女子はその親に育てられながら、さらにミニマリストなどモノを持たない人たちが注目される時代に、多感な10代後半を迎えている。ベストセラー『フランス人は10 着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質”を高める秘訣』(大和書房刊)が、女子高生の間では着ていない服を整理する遊びにつながったといわれる。自分に似合う・似合わない、着る・捨てる(売る)ものを友達にチェックしてもらうというものだが、ものの量に目が向けられ、買うもの、持ち続けるもの、借りるものなど取捨選択意識がさらに植え付けられたと言えそうだ。彼女たちがますますシビアな目を持つ生活者になることは間違いない。

■自分磨きは手堅く、
将来を見据えた資質磨き>目先の外見磨き


データ①~③は、今どきハイティーン女子とLINE世代女子を比較したもの。共通点ももちろんあるが、やはり、親世代からの刷り込みと、今の時代感が掛け合わされた特徴が随所に見られる。

今どきハイティーンの特徴


データ①「自分磨きへの意識」を見ると、「こだわりのシャンプーやトリートメントを使っている」が双方でトップに挙がった。また、今どきハイティーン女子では、「香水やアロマオイル」(13.8%)「ネイル、エステ、マツエク、脱毛などの美容」(9.8%)といった項目への反応率はLINE世代よりも低い。代わって、「スキンケアにはこだわり、素肌美人を目指している」の方が、4位(23.8%)に挙がる。その背景には、もちろん校則などの規制や経済的な要因も考えられるだろう。しかし、LINE 世代女子やその上の世代が高校生の頃は、「週末にはちょっとネイルしちゃいます!」「香水デビューは中学生でした」といった美容面での+αの遊び心が垣間見られたことを考えると、冒険心はあまり持っていない様子。親である団塊ジュニア世代のベーシックでナチュラルな志向を受け継ぎ、生まれ持っての“素”磨きに関心が高い結果と言えるのかもしれない。

続いて、今どきハイティーン女子の5位と6位には「料理をするなど家庭的なスキルを磨いている」(18.4%)「語学や資格の勉強など将来のキャリアにつながりそうな勉強に力を注いでいる」(16.8%)が挙がる。今を楽しむことよりも、将来の安心感を着実に手に入れるために自分自身の資質を磨くことに目を向けている様子がうかがえる。

自分磨きへの意識

■トレンドは等身大で、世間一般のトレンドには興味なし


データ②「情報意識・感度について」を見ると、双方とも2 割が「トレンドは分からない」とし、3 位に「トレンド自体に興味がない」が挙がった。トレンドという先取り的な言葉が、彼女たちの感覚にだんだんフィットしなくなっていることは、今後留意すべき点だろう。

LINE世代女子のトップは「トレンド情報はキャッチしているが、あえて意識しない」(27.1%)であった。バランス感覚を重視しながらつながり意識を持っていることが、結果として突出しない・外れないためのボーダーラインを押さえておくという姿勢なのだろう。

対して今どきハイティーン女子では、「友達の間で話題になっているトレンドを取り入れる」(19.8%)が2 位に挙がる。等身大を重視し、遠い憧れよりも周囲とのつながりを意識していたいといった思いが表れている。

情報意識・感度について

また、データ③「よく使うSNSについて」を見ると、双方の世代の多くがTwitter とInstagramに接触していることが分かるが、今どきハイティーン女子では、3 位にMixChannel、4位にTwitCastingといった動画を活用したSNSが挙がっており、情報ツールも今後変化していくことが推察される。

将来に目を向けつつ、等身大で消費を行っていくことが確実視される今どきハイティーン女子は、一体どのような情報ツールからどのような情報の受け取り方をするのか。消費を後押しする彼女たちに響くツボは何なのか。

今後、ポストバブル世代の子どもたちが消費のコアターゲットになっていくことを考えると、そのトップ世代である今どきハイティーン女子の、生活者としての未来像を予測しながら、消費のプロセスを解いていくことが必要不可欠であるといえよう。

 よく使うSNSについて

※GMOメディアによる “女の子の新しいhappyのかたち”をコンセプトにしたコミュニティサイト「プリキャンby GMO」を介し、今どきハイティーン女子とLINE世代女子を対象に実施したWEB調査(2016.5.27 ~ 6.1)の結果より引用。


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【ifs“今どきハイティーン女子”研究プロジェクト立ち上げのお知らせ】

伊藤忠ファッションシステムでは、LINE世代女子との比較をしながら、“今どきハイティーン女子”の基本的価値観や情報との関わり方、コミュニケーションの実態を掘り下げ、彼女たちへのアプローチ法について異業種の方々と一緒に解明していく共同研究プロジェクトを立ち上げます。ご興味のある方は是非ご一報ください。

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