2020年ifs新春フォーラムトークセッション: <PART2>「働き方・暮らし方が変わる」

テーマ: 「10年後の人々の暮らしとそれを踏まえた企業の動き」
ゲスト: 株式会社スノーピークビジネスソリューションズ エヴァンジェリスト/ NPO法人「ハマのトウダイ」共同代表 岡部 祥司氏 大和ハウス工業株式会社マンション事業推進部 企画建設推進部 次長/ 設計デザイン室 室長 瀬口 和彦氏  ifs マーケティング開発グループ 太田 敏宏 コーディネーター: ifs ナレッジ室 小原 直花

左)株式会社スノーピークビジネスソリューションズ エヴァンジェリスト/
NPO法人「ハマのトウダイ」共同代表 岡部 祥司氏
右)大和ハウス工業株式会社マンション事業推進部 企画建設推進部 次長/
設計デザイン室 室長 瀬口 和彦氏 

小原:「働き方・暮らし方が変わる」「消費が変わる」「あらゆるものの境界線があいまいになる」という大きく3つのテーマでセッションを進めていきたいと思います。
まずは1つ目のテーマ「働き方・暮らし方が変わる」のお話を進めていきたいと思いますが、代表的な例としてテレワークが考えられると思います。

太田:テレワークに関してはいろいろな企業がチャレンジしており、今後増える・増えないという意見もあるのですが、やれるところはテレワークをどんどん推進していこうという話もあります。テレワーク化を推進していくことによってオフィススペースを削って家賃を少し圧縮することによってもう少し儲けを増やそうみたいな企業メリットもあります。いろいろな形でテレワークの実験が進んでいくのですが、聞いた所によると大和ハウスが東京オリンピック期間中、テレワークの実験をやるとお聞きしたのですが、その辺はどうですか。

瀬口:リリースが出ていますが、東京オリンピック期間中の半月間、「スーパーテレワーク」とうたって、東京本社・本店に勤務する社員は会社に出てくるなと。サテライトや周辺の支社・支店で働くか自宅で働くことになりました。実は2018年から大和ハウスの東京本社・本店ではテレワークが認められていますが、使う人がなかなかいないので、昨年から今にかけて3回実証を各部署でやりなさいと。今月(1月)は強化月間で、1月中に本社・本店にいる全員が1日は必ずテレワークをやることになっています。私は既に実証で1週間テレワークをしました。私は部署の責任者ですが、「管理職がテレワークをしないのは困ります。誰かいませんか」と人事から言われて、「はい」と言ってやらせてもらったのですが、非常に仕事の効率が上がります。なぜかと言うと部下から相談を受けない。他の部署から電話がかかってきても「今日はテレワークで瀬口さんはいません」と言うと対応しなくていいので、自分が今やろうとしていることを集中してやりたいときにはものすごく効率的です。

小原:その時は自宅でされているのですか。

瀬口:東急系のNew Workと提携しているので、そこに1週間行きました。

小原:事業を多角的にされている大和ハウスならではの実行に移すスピード感とチャレンジ感、そこに必要になる物事との提携などやはりさすがですね。

瀬口:そんなことはないです。さすがに社員が3,000人となるとどこに行けばいいのか、本当に3,000人が東京本社に不在で仕事が成立するのか。機器もそうだけど、今はテレワークを申請するとLTEの通信にパソコンにつけるやつを貸し出されて登録をしてやっていくけど、3,000個もない。

小原:でもやってみないと分からない。スノーピークはそのあたりは進んでいて自由度が高そうな気がします。

岡部:自由です。例えば、スノーピークはアウトドアブランドですが、僕らが商談に行く時にネクタイとスーツを着ていたら変。少し違和感があるのと一緒で、スノーピークが考える働き方改革は何か。テレワークをやらなきゃではなくて、テレワークをやるにしてもスノーピークがやるならどういうテレワークがいいのか。ここに結構アイデアというか、らしさが出てきますが、先にテレワークや働き方改革を取りに行くと怪我をしそうな気がします。社員の納得感もスノーピークっぽいと思えるのか、スノーピークの管理部署はすごいと思うのか。それでずいぶん変わる気がします。スノーピークはキャリーバッグを持ってうろうろしている人がいて「新潟行ってきます」とか。僕も新潟に行ったり、原宿に行ったり、いろいろな所を転々としています。

太田:皆さんの中で、うちの会社はテレワークをOKにしています、あるいはテレワークを積極的にすすめていますという方は手を挙げてください。

小原:やはりまだ少ない。

太田:10%ぐらいですかね。

小原:ifsもまだです。

太田:ifsは進んでいるように見えますが、テレワークは基本禁止。パソコンの持ち出しも、こういうプレゼンの時は大丈夫だけど、残業のためにパソコンを家に持って帰ったらいけない。そういうルールになっているので、基本テレワークは出来ない。

小原:私はテレワークをしている20代後半の2歳の子どもを育てているママさんにお宅訪問してインタビューをしたことがあります。時間的な拘束からは離れているけれども、Skypeでの会議は午前中に10分間することになっていますが、やはり人と喋りたくなると。ランチタイムは1時間と決まっていますが、コンビニでも外に出たい。週末は絶対に家族レジャーに行ってもらうことを旦那さんに約束してもらっているという話がありました。働き方というのが、そういう風にオフィスから出た時の人の欲求がまた新たに広がっていきそうですが、そのあたりはどのように思われますか。

岡部:お子さんがいると通勤が大変なので、朝方の時間は子どもを送って公園で働く。1、2時間したら電車が空くので会社に行く。帰りも15時ぐらいに家に帰る。子どもをピックアップして、子どもを公園で遊ばせて、公園でお母さんとお父さんが働く。公園は子どもが遊ぶ所と思っているものを変化させられると、カフェを入れたらいいだけではなくて、カフェでもワークスペースがあるみたいに広がっていけたらいいなということで東横線沿線や田園都市線は東急やリクルートとその話をしています。

太田:スノーピークを始め、そういう所がどんどん実験すると公園が仕事をする人だらけになって子どもが遊びにくい(笑)。

岡部:そうなるとまた考えましょう。東屋があるけど、だいたいの使い方が想像出来る。子どもがゲームをしているけど、大きいスクリーンを立てて見せる。何をやっているか分からないから禁止されるが、オープンになったら誰も何も言わない。むしろ楽しく外でeスポーツが出来る。

太田:有名選手が出てくるかもしれない。

岡部:仕事もオープンにしていく。暮らし方、生活の仕方が多様化しているから一括りに出来ない。

小原:瀬口さんは1週間テレワークをされて仕事がはかどった、人からの連絡がないし、ということですが、逆にこういうところが足りないと思うかもしれないなど気分的なところではどんな感じですか。

瀬口:テレワークで言えば向く職種と向かない職種があると思います。先ほど連絡がないと言いましたが、実際はありますし、会議も今はパソコンやチームズ、スカイプで出来ますから、そういうことはあまり不便さがないです。先ほど人の声が聞きたいという話がありましたが、それに少し近いのが、シーンとしているので音を出せない。中間管理職は抑圧されていますから、仕事をしているとどうしてもブツブツ文句を言って「これ何だよ」とか言っちゃう。そういうことが言えないのが若干ストレス。
小原:音漏れしないマスクが登場するかもしれません。

瀬口:それが言えるコワーキングスペースはニーズがあると思います。

太田:分譲マンションの中に働く場所や自由に働ける、テレワークが出来る所を作るという動きはないですか。

瀬口:いくつか工事が始まっているような物件でコワーキングスペースをセットしているのはあります。ただ、分譲マンションの中で共用部分を作れば作るほど売りの面積が減るので販売価格が上がってしまいます。その中でどのくらいのスペースの量が適正かということを考えながらつくっていますが、それは各社つくっています。それがスタンダードになると思います。マンションの中の共用部分のコワーキングスペースでやるのか自宅でやるのか。ただ、自分の気持ちを切り替える意味では共有部分もありますが、家族が少なくなっているので、もしかすると自宅の中にハウスインハウスという形でまた別の空間を作るようなものに、これからニーズが出てくるかなと思ったりします。

小原:若者と話をしていると人の気配は感じていたいところがあります。もちろん一人で考え事や何かしているかもしれないけれども、周りに人がいることで集中出来ることがあると思います。
暮らし方で多拠点的に住んだ時の考え方もあると思いますが、2週間程度の短期間住むというようなことで微住という言い方をされて、いろいろな所で微住しながら暮らしている方や、移住となると重いので移動生活をどこかの県や市を決めてやりますという方など。30歳前後の経営者の方に聞くと、最終的には4拠点ぐらい持って移動出来るような自由度が欲しいという話があります。そうなってくると働き方というのは、もちろんネットなどで出来ていくからかもしれませんが、職業のあり方も出来るものと出来ないものの境目もなくなるかもしれません。

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