ミレ二アル世代に向けた新しい金融サービス

働き方に柔軟性と流動性を求め、フレキシブルに働くスタイルを好むミレ二アル世代の台頭により、 2020年までにアメリカでは労働人口の40%=6000万人がフリーランスになると言われている (リサーチ会社Intelligence Group(http://intell-group.com/2014/調べ)。 その背景には、近年におけるテクノロジーの進化、インターネットやモバイルの普及により、時間帯や時差に囚われることなく全世界の人々を繋ぎ、多くの様々な分野の仕事をフリーランスという形態で請け負う事が可能となったからだ。 昨今の働き方の多様化と、それに伴う報酬の在り方の多様化により、ミレ二アル世代のライフスタイルやニーズにあった金融サービスが続々と登場。今回は、その中でも話題になっている金融サービスの事例を幾つかご紹介させていただきます。


ミレニアル世代を対象にした家賃の前借りサービス

Census Bureau(米国国政調査) (https://www.census.gov/)のデータによると、2019年、米国内に於ける1ベッドルームの平均家賃は過去最高の一月$1,006に達したという。ちなみに米国国内で一番家賃が高い都市といわれているのがサンフランシスコで、1ベッドルームの平均家賃が$3,690ドルに達した。NY市内の1ベッドルームの平均家賃は$2,870。(2019年3月5日付け)。2017年、National Multifamily Housing Council (国立集合住宅協議会)が、10万人以上の賃借人を対象に行った調査によると、そのうち3%が家賃をクレジットカード払いしていることが判明。また、調査対象者の16%以上が、家賃のクレジットカード払いが可能であれば、そうしたいと答えたという。このようなニーズに応えるべく、家賃の前借サービスを提供する会社が登場。

事例①:StayTony x Uplift

StayTony x Uplift







https://www.pymnts.com/news/alternative-financial-services/2019/staytony-rent-relocation/
https://www.hanleywood.com/construction-wire/financing-the-rent-california-company-offers-first-ever-short-term-affordable-option_s
LAやアトランタを拠点に、家具つき高級賃貸アパートの短期物件を主に取り扱う不動産会社「StayTony」(https://staytony.com/)の社長Tony Diamond氏によると、家賃物件の値上げが続く中、家賃を分割で払いたいと希望する若年層が最近増えているという。そこでStayTonyは、ミレニアル世代をターゲットに、家賃の前借サービスを開始した。
このローンサービスは、オンライン旅行代理店向けに、月額分割払い決済システムを提供するUplift(https://www.uplift.com/)との提携で実現し、物件を12ヶ月以上契約するテナントを対象に、最初の6ケ月は無利子、年利15~17%で上限$15,000のローンを提供する。州によって、年利が700%の高金利なキャッシュアドバンスローン、また平均的なクレジットカードの金利18.81%~19.24%に比べて、StayTonyのような低金利で家賃を一時前借できるローンサービスは魅力的。給料の支払い日が不定期な新卒者、新しい都市へ引越しをするヤングプロフェッショナルズやクレジットスコアを構築したい人々への大きな助けとなっている。

事例②Earnin: 次の給料日を待たずに給与の一部を立替えしてくれる給与前払いサービス

Earnin:















https://www.birdsofafire.com/earnin-review-paid-daily-personal-loan/https://venturebeat.com/2018/12/20/earnin-raises-125-million-for-payday-advance-platform-without-fees/
2012年、Ram Palaniappanによって、カリフォルニア州パロ・アルトで設立されたスタートアップEarnin(昨年企業名をActivehoursからEarninに変更)(https://www.earnin.com/)は、給料日を待たずに、手数料、金利、一切のコスト無しに、給与の一部を前払いするサービスをスタート。
CareerBuilder(http://www.careerbuilder.com/)のレポートによると、米国に於ける労働者の78%が給料ぎりぎりの生活をし、多くの人々が急な出費や予期せぬ出費に対応できないという。Earninは、このような多くのアメリカ人が直面している経済的課題にスポットライトをあて認識を仰ぎ、給料と支払いの間のギャップを埋めるシステムを構築。また同社は、100%コミュニティサポートのサービスで、金利や手数料を請求しない代わりに、ユーザーからの自主的なチップから収益を得ている。
ユーザーは、まずEarninのアプリをダウンロードし、アプリを銀行口座と連結させ雇用情報を入力。勤務後、希望の給与支給額を入力しキャッシュアウトする。1回の給与期間につき、上限$100の前払いを申請することができる(信用を積むと 上限$500まで申請が可能に)。Earnin側は、検証システムを使用してユーザーが予定した業務を完遂したかどうか検証し、給料日に自動的にユーザーの銀行口座から前払いした分の金額を引き落とすシステム。
更に特筆すべきは、同社は「pay it forward」(ある人物から受けた親切を、また別の人物への新しい親切で繋いでいく意)機能を導入し、ユーザーが余裕のあるときに他のユーザーの支払いをカバーできるように多めのチップを促していることも大きな特徴だ。Earninは、2018年12月のシリーズC投資で1億2500万ドルの資金調達を行い、これまでに累計1億9000万ドルの資金を調達。今後はチームや事業を米国全土に拡大させるという。

事例③Uplift: 支払いは後から、思い立ったらすぐに旅行に。旅行代金分割払いサービス

Uplift:










https://vacations.united.com/specials/uplift.aspx
Uplift(https://www.uplift.com/)は2014年、サンフランシスコを拠点にBrian BarthとStu Kellyによって創業された、オンライン旅行代理店や航空会社向けに分割ローンの決済オプションサービスを提供するスタートアップ。現在は、大手国内外の旅行検索・価格比較サイト「Kayak」や、Spirit Airlines, American Airlines Vacation, United Vacation, Universal Orland Resort, Southwest Vacation他多数と提携。2019年1月にシリーズC投資で1億2300万ドルを調達し、累計で2億2100万ドルの調達に成功した。企業側は、Upliftと提携することで、ユーザーの基本情報から即座にローンの審査を行い、月額の分割料金を決定することができる。ユーザー側にとっては、購入時点で十分な資金がなくとも、航空チケットや旅行代金を分割で後払いできるフレキシブルなシステムが魅力となっているようだ。
今後も働き方の多様化が進む中、前述したような前払いサービスや分割後払いサービスのような消費者のニーズに沿った金融システムが登場すると予測する。



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