Gen Z世代の最新「食」動向

Gen Zは、1994年から2010年代半ば生まれの9歳~25歳(文献によっては1990年代半ばから2000年代初期生まれ)をさす。Gen Zと呼ばれる彼らは、現在米国に約6500万人存在し、2020年までに米国消費者の40%を占めると言われている。ミレニアル世代の後発組と年齢が近いGen Zの先発組は、既に成人を迎え労働市場に参入。現在彼らの消費力は 440億ドルとも言われ、その消費力は年々増加の一途を辿っている。Gen Zは、コト消費を重要視し、Foodieの異名を持つミレニアル世代と嗜好が比較的似ていると言われるが、こと食に関してはミレニアル世代とは少し違った価値観を持っているようだ。



■Gen Zにとっての食とは

グローバルな味覚を持つGen Z にとって食はトッププライオリティの一つ。

https://csnews.com/gen-z-five-key-future-dining-trends
イギリスを拠点に、様々なクーポンを学生に提供する学割サイトUNiDAYS(https://www.myunidays.com/US/en-US)の調査では、実に78%のGen Zが、外食にお金を費やしていると答えた。また、多くの学生が一回の外食に$10-$20費やすことを厭わないと回答している。
今日の若年層は米国の歴史に於いて、彼らの様々な人種や民族的背景からみても最も多様化し、幼少の頃からレストランや家庭で世界各国の料理を嗜んできたため、グローバルな味覚を持もつ。デジタルネイティブで探求心旺盛なGen Zは常にソーシャルメディアをから新しい食のトレンド、レストランの情報やインスピレーションを得ているという。

■“better-for-you”(自分の健康を考える)がキーワード。

Gen Zの多くは、ミレニアル世代と同様に、原産地、原材料の表示、添加物の不使用、食品や飲料水の製造過程の透明性や食品の鮮度、安全性や真正性を重視する傾向にある。ミレニアル世代と異なる点を挙げるとすれば、Gen Zは、食への関心が高いGen Xを親に持つ人々が多いこともあり、幼少期の頃から味の良し悪しだけでなく、食の機能や栄養素の観点から食の価値を教えられてきた世代。クリーンイーティングが生活の質を改善し、新鮮な食が自分の人生に重要な役割をもたらすことを認識し重要視している。そのため、オーガニック、ナチュラルフード食品、飲料水、Non-G.M.O.食品の消費量は、他世代に比べて最も割合が高い。“better-for-you”(自分の健康を考える)がキーワード。また、自身の体質や嗜好とは別にモラルの観点から、ヴェジタリアンやフレキシタリアンになる者も多いという。

■スペシャリティフード市場の成長を牽引するGen Z

Beverage Daily (https://www.beveragedaily.com/)によると、米国のスペシャリティフードと飲料市場は1400億ドル市場と言われ、従来品に比べ3倍の速さで成長を遂げている。この成長を後押ししているのがミレニアル世代とGen Zの先発組(18-23歳)だ。
ロンドンを拠点にするグローバルリサーチ会社で、過去に受賞歴を誇るMintel(https://www.mintel.com/)がGen Zの先発組(18-23歳)の消費者を対象に行った「食品購買動向調査2018」によると、Gen Zの回答者の79%が、高品質な原材料を使用して少量生産されるローカルのスペシリティーブランドを購入すると回答。(多世代との比較は、ミレニアル世代67%, Gen X 65%, Baby Boomer 60%)。調査によると、すべての世代に於いて、スペシャリティフードを手に取る動機として①味、②品質、③多文化の経験、④癒しの4つの理由が挙げられるが、若年層を代表とするGen Zが他世代よりもスペシャリティフードの消費が多いことがわかった。
さらに、“ヘルシーなライフスタイル”、“環境に与えるインパクト”、“動物福祉”(人間が動物に対して与える苦痛(痛みやストレス)を最小限に抑えるなどの活動により、動物の心理学的幸福を実現する考えをさす。)という3つが起因要素となり、 “プラントベースムーヴメント”(動物性食品の摂取を控え、野菜中心の食生活を意味)が若年層の間で爆発的な広がりをみせていることも乳製品や肉の代替品を使用した食品、ヘルシースナックや飲料を展開するスペシャリティフード市場の成長に一役買っている。

Gen Zに人気のスペシャリティフード

事例1: Mushroom Jerky
https://www.mushroomjerky.com/

https://www.mushroomjerky.com/products/pans-mushroom-jerky-variety-pack
https://www.mushroomjerky.com/pages/copy-of-our-story-1-10
ワシントン州バンク-バーを拠点に、エンジニアとしてキャリアを積んだMichael Pan氏が2008年に設立した椎茸をベースにしたヘルシースナックブランド。ブランド誕生のきっかけは、家族旅行でマレーシアを訪れた際に、親戚が作る椎茸を使った風味豊かなジャーキーとの出会いから始まる。ファミリーレシピからヒントを得て、シンプルな食材の使用と新しい風味を用いてPan’s Mushroom Jerkyが誕生。昨今の健康やサステーナビリティの観点から、肉の消費を減らす消費者やまた肉好きにも満足してもらえるような風味豊かで食べ応えのあるスナックだ。オーガニックの原料を使用し、ヴィーガン、ソイフリー、グルテンフリー。フレーバーは、Zesty Thai, Applewood BBQ, Original, Sea Salt & Pepperの4種類。価格:$9

事例2: No Evil Foods

https://www.noevilfoods.com/

https://www.noevilfoods.com/products/
https://www.livekindly.com/no-evil-foods-vegan-meats-250-walmart-stores/
ノースキャロライナ州アシュビルを拠点に、Sandrah SchadelとMike Wolianskyが設立したシンプル、サステーナブルをスローガンに、100%植物性蛋白質を使った「肉」の代替ブランド。肉に限りなく近いテクスチャーと味を再現し、蛋白質は豆、小麦の粒、酵母から、そしてオーガニックハーブやスパイスといったシンプルな食材を作って独自の味を作り上げた。また、コレステロール、GMO、飽和脂肪酸、抗生物質、ホルモン剤、大豆たんぱく質、硝酸塩、乳製品を一切使用していない環境に優しく、エシカルな実践を行っている企業でもある。種類は、チキンの代替になる、Comrade Cluck, イタリアンソーセージの代替になるThe Stallion, チョリソーの代替になるEl Zapatista, BBQポークの代替になるPit Boss, ターキーの代替になるThe Pardonの5種類。価格は6パック(The Pardonを除く好きなフレーバーを選択可)$49、The Pardon $31。

■Gen Zは、ブランドの大小にかかわらず、ライフスタイルをサポートし、パーソナルレベルで繋がることのできるブランドを好む

ミレニアル世代、Gen Z、両世代ともローカルなスモールブランドを支援する傾向が強いことは前述させていただいたが、ミレニアル世代がより小さい、ニッチでローカルな食ブランドを好むのに対し、Gen Zはブランドの大小にかかわらず、ヘルスやウェルネスを促進し、彼らのライフスタイルをサポート、またパーソナルなレベルで繋がることのできるブランドを好む傾向にあるという。

■“healthy”で“よりconvenient”がキーワード。


https://www.forbes.com/sites/christinecarter/2017/10/29/the-business-of-feeding-health-conscious-gen-z-and-alpha-children/#6e3ed556b280
https://www.thegrocer.co.uk/new-product-development/mars-food-unveils-meat-free-tasty-bite-indian-ready-meal-range/595885.article
フード、飲料、消費財、人口セクターを中心に網羅する老舗調査会社Packaged facts(https://www.packagedfacts.com/)が行った調査によると、若年層の間で、食事のスタイルに大きな変化が起きている事が分かった。従来の朝、昼、晩3食食べる食事のスタイルから、軽食やスナックを含め一日複数回食事をとるスタイルへと移行しているという。この変化の背景には、“on-the-go lifestyle(絶えず動きまわっているライフスタイル)”、“スマートフォンを片手に簡単に食事を済ませたい”、また、“複数の仕事を掛け持ちしているため、座って食事をとる時間がない”といった理由が主たるものである。
また、Looking Ahead to Gen Z: Demographic Patterns and Spending Trendsが発行したレポートによると、25歳以下の成人が世帯主の家庭では、29%が夕飯に電子レンジ専用食品を、26%が冷凍食品やサンドウィッチを朝食に消費する事が分かった。さらに、23%が、夕飯に冷凍食品を、10%が温めるだけで簡単に用意できる包装料理、電子レンジ専用食品やミールプランキットを利用していることも判明。

https://shop.thinkproducts.com/Protein-Oatmeal/c/ThinkProducts@Oatmeal
簡単に用意ができることから、冷凍食品や電子レンジ専用食品への関心が高まる中、イタリアンフードメーカーBarilla社は、電子レンジで60秒チンするだけで、アルデンテのパスタができるBarilla® Ready Pastaを発売。用意する材料は少量のオリーブオイル、ひとつまみの塩とReady Pastaの3つ。パスタの入ったパウチを電子レンジにかけ、あとは好みのトッピングで味付けをするだけという非常にシンプルな工程。同製品は添加物の使用は一切しておらず、Non-GMO認証商品。仕事場でのランチ、学校後のスナックや家での簡単な夕飯に、簡単に準備できて腹持ちの良いものが受けている。また、一食分がカップに入ったレンジでチンするだけのオートミールも、急いでいるときに何か食べたいという食欲を満たしてくれる便利でヘルシーなスナックオプションとしてGen Zに人気。
調査の結果から、Gen Zの成人グループが冷凍食品や電子レンジ食品を手に取る傾向が強いことが分かったが、彼らはただやみくもに便利だから、時間の短縮に繋がる、または簡単だからという理由だけで冷凍食品や包装食品を手に取っているわけではなく、利便性を追求しながらも、味、ナチュラルな食品、食品添加物や食品加工物の入っていないヘルシーで安全な製品という点は決して妥協しない。
ミレニアル世代とはまた異なった、食に対する独自の信念を貫くGen Zの動向から目が離せない。





無料メルマガ登録はこちら!

ビジネスリーダーに役立つ記事やブランドマーケティングに関する情報などを随時お届けしております。

ページの先頭に戻る

お気軽にお問い合わせください

ブランド開発、マーケット開発、クリエイティブ開発に関する
ご相談を受け付けております。