プロユースは新しいエンタテイメントを提供する

「プロユース」。一昔前なら、プロが使うのに相応しい高スペックを備え、一般的な商品よりも高級なラインであることを指していた。今、新しいカタチのプロユースが受けている。そのポイントは、「高スペック」ではなく、「コスパ」である。
1つ目の例は「業務スーパー」。その名が示しているように、「業務用」と称した大容量の調味料や食品材料などを得意としているスーパーだ。運営する神戸物産は、スーパーの運営もさることながら、自ら工場を持ち、自社生産を多くすることでこのコスパを実現している。また、安さだけを売りにするのではなく、ユニークさも売りになっている。1リットルの牛乳パックに入った水ようかんやプリンなど、他では見たことのないような商品も売られ、ネットでは「業務スーパー」で買った商品のアレンジレシピなどが多く投稿されている。
2つ目は、皆さんもよくご存知の「コストコ」である。なぜ「コストコ」がプロユースなの?と思うかもしれないが、ホールセールクラブという、法人や個人の会員から年会費を徴収し、会員のみに破格値で商品を販売する形式を採っている。入会のカウンターに行くとわかるが、プロを対象にしたビジネスメンバーという制度がある。あの量と品質はプロでも納得して利用できるのである。店をよく見ると、DIYのレベルではない工具まで売っている。
3つ目は「WORKMAN+」である。「WORKMAN」の急成長ぶりはもう説明する必要ないくらいだろう。ロードサイド中心に職人向けの作業着を売る店というイメージから、カジュアルウェアの業態へと転換し、普段着やアウトドア、スポーツにも使えるコスパの高いウェアという視点で受けている。
プロが使うようなスペックは、無駄と言われるかもしれない。ところが、不況下では高スペック+低価格は救世主のように見えてくる。また、コロナ禍でレジャーを制限されている消費者にとっては、これらの日常的な業態で、無駄とも思える大容量の商品を見て笑ったり、珍しい商品を宝探ししてみたり、アレンジを加えることでネットに投稿したりすることで楽しみを覚えている。コスパを超えて、エンタテイメントとして昇華しているのである。



著者情報

第1ディビジョン マーケティング開発第1グループ 小売業やメーカー向け戦略策定、商業デベロッパー向けの戦略・コンセプト策定・ディレクションなどが主な業務。時代を独自に読み解く視点で執筆・講演も行なう。同社ホームページにて「太田の目」を連載中。オリジナル調査「Key Consumer Indicators by ifs」のディレクターも務める。1963 年生まれの「ハナコ世代」。あいみょんの大ファン。

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