ここ数週間は、毎日、10万人を超える新型コロナウィルスの新規感染者数が記録される「第7波」という状況を迎えている。国内の累計感染者数も1270万人を超え、ついに国民の10人に1人が感染したという状況になった。
しかし、これまでと違うのは、公的に行動制限が課されることなく、各企業や各個人の判断に任されている。このような状況においても、街の人出は増えているように感じる。
一昨年~昨年にかけては、感染を防ぐために、イエナカで過ごす人が多く、そのための消費=「巣ごもり消費」が生まれた。ネットで映画を見て、家で食事をし、家の中の環境を充実させる。そんな生活スタイルが生まれた。外食産業やコンビニエンスストアや、旅行、ライブイベント等は大きな打撃を受け、ホームセンターが活況を呈した。
2022年春以降、行動制限が解除されると、これとは真逆の動きが生じた。外食業は業界全体では、コロナ前の水準に近づき、旅行やライブも活況。コンビニエンスストアも通勤者が戻ることで回復基調に乗っている。逆にホームセンターは、前年比マイナスに転じている。
コロナが収束している状況とは程遠いものの、消費者は家の外での活動や消費に目を向けているようだ。イエナカは、もう十分すぎるほど充実してしまったということか?コロナとの共存にも慣れ、通勤とテレワークを混ぜたハイブリッドワークも定着し始め、週末は旅行や買い物に出かける。まるで「巣立ちの時」を迎えたヒナのようである。すぐに大空高く飛べるわけではないが、羽ばたく練習を始めているようだ。
一方で未だに羽ばたくことができない業界もある。アルコールを伴う夜中心の飲食業態と、ファッション業界である。行動制限がなくても、仕事が終わって飲みに行くという気持ちにはつながらない。ファッションは、旅行やショピング、ライブという行動の増加が購買に結びつかないという、「不要不急」のレッテルを剥がすことができていない。
おそらく、この先、コロナとwithの関係を結ばざるを得ない状況が続くだろう。「外で酒を飲まない」「わざわざ服を買わない」という習慣が定着しないうちになんとかしなければならない。



著者情報

第1ディビジョン マーケティング開発第1グループ 小売業やメーカー向け戦略策定、商業デベロッパー向けの戦略・コンセプト策定・ディレクションなどが主な業務。時代を独自に読み解く視点で執筆・講演も行なう。同社ホームページにて「太田の目」を連載中。オリジナル調査「Key Consumer Indicators by ifs」のディレクターも務める。1963 年生まれの「ハナコ世代」。あいみょんの大ファン。

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