最近、ブランドの日本再進出のニュースが続いている。
ファッション業界では、「FOREVER21」 「エディー・バウアー」「アメリカンイーグル・アウトフィッターズ」など、自動車業界では、昔はヒュンダイと呼ばれていた韓国の「ヒョンデ」である。これらのブランドに対して、ニュースは“再上陸”という呼び方をしている。これにいささかの違和感を覚える。「一度失敗したが、もう一度やってきたぞ。」的な報道のされ方である。一様に、成功するのは難しいと語られている。発表をしただけ。商品も何も明らかにされてない。以前に展開していたときも、日本で全く支持されなかったという訳ではなかった。それにもかかわらず、もう失敗するだろうと決めつけられている。
中身を冷静に見てみると、“再上陸”というよりも、スキーム変更やパートナー変更に近い。インポート中心の展開をライセンススキームに切り替えたり、パートナー企業と展開していた方式を直接進出に切り替えたりしているのだ。ヒョンデにしても、電気自動車と燃料電池自動車に絞っての展開で、ディーラー網を持たない、テスラのような売り方をしようとしている。やり方を変えることで、チャンスがあるという判断である。
私は、これらのブランドを擁護しようとしている訳ではないし、成功すると断言している訳でもない。ただ、どのようなやり方をしてくるのかには興味がある。だから、「何度来ても、おそらく失敗するであろう。日本市場は難しいのだ。」という決めつけは、まるで、元寇のように感じる。
日本のブランドを擁護したい気持ちもわからないでもない。円安が進んだとしても、もはや日本市場で日本ブランドだけが成功するなんて時代ではない。日本のブランドだって、海外市場どころか、日本の市場も攻めあぐねている。
このような難しい時代の中で、どのようなやり方をすれば、あるいはどのような気持ちを呼び起こすことができれば成功を収めることができるのかを、この目で確かめてみたいのだ。



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著者情報

第1ディビジョン マーケティング開発第1グループ 小売業やメーカー向け戦略策定、商業デベロッパー向けの戦略・コンセプト策定・ディレクションなどが主な業務。時代を独自に読み解く視点で執筆・講演も行なう。同社ホームページにて「太田の目」を連載中。オリジナル調査「Key Consumer Indicators by ifs」のディレクターも務める。1963 年生まれの「ハナコ世代」。あいみょんの大ファン。

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