なんちゃらバブル【ifsマーケター連載:太田の目】

繊維月報の連載など、外部への執筆・講演でもおなじみの ifs名物プランナー太田敏宏による、時代を独自に読み解くコラム「太田の目」。

今回のテーマは、近日なにかと取りざたされている「〇〇バブル」について。かつて90年代に崩壊した元祖「バブル」から社会は何を学んだのか、トレンドワードの背景を考察します。

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日経平均株価がバブル期を超えて34年ぶりに最高値を更新する一方で、中国では不動産バブル崩壊による経済失速という話題も聞かれる。まるでアメリカンコメディみたいに「良いニュースと悪いニュース、どっちから聞きたい?」みたいに、メディアでは「バブル」という言葉が飛び交っている。

日本各地で半導体工場の誘致合戦が繰り広げられ、政府も巨額な補助金を出して、呼び込みを図っている。先行する熊本では、TSMCの工場建設により、急激に地域経済が活性化し、賃金や土地、家賃の値上がりが起き、「半導体バブル」と呼ばれる状態になっているようだ。

また「水素バブル」も起きている。「水素バブル」と言っても、お風呂の泡発生装置や、美容効果を期待して飲む人もいる水素水のことではない。産業界では今、脱炭素の切り札として、世界中で水素への注目が集まり、様々な投資を産んでいるのだ。

ここでちょっと気になるのは、どうして「バブル」という言葉を使うのだろう。かつてのバブル経済という言葉は、適正な水準を大幅に上回って膨張し、やがて破裂して消え去ることを意味した。実体を伴わない、投資熱だけが高まったことによるしっぺ返しを揶揄して「バブル」と呼んだはずだ。

株価も半導体も水素も、いつかは「バブル」のように弾けることを予測しているのだろうか?もし予測ができているのであれば、行き過ぎた投資は起きないはずだ。それでも、閉ざされた未来を予感させる「バブル」という言葉を用いる背景には、30年以上経ったバブル崩壊から、未だに立ち直れていない日本の姿が想像できる。

30年間、給与が上がらない今の日本を憂い、「バブル時代が羨ましい」なんて声も聞かれる。今が本当にバブルなら、なりふり構わず、時代の波に乗って、浮かれてみるのも良いのではないだろうか?そんな態度を示したら、「不適切にもほどがある!」  と怒られそうな気もするが……。



著者情報

第1ディビジョン マーケティング開発第1グループ 小売業やメーカー向け戦略策定、商業デベロッパー向けの戦略・コンセプト策定・ディレクションなどが主な業務。時代を独自に読み解く視点で執筆・講演も行なう。同社ホームページにて「太田の目」を連載中。オリジナル調査「Key Consumer Indicators by ifs」のディレクターも務める。1963 年生まれの「ハナコ世代」。あいみょんの大ファン。

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