第1回 iSFL カンファレンス「次世代の価値観とサステナビリティ&インクルージョン」開催レポート

2023年8月24日(木)に伊藤忠ファッションシステムは第1回 iSFL カンファレンス「次世代の価値観とサステナビリティ&インクルージョン」を開催しました。
 
第1回カンファレンスでは、未来の豊かな暮らしを描くための現実的かつポジティブな視点を得るべく、慶應義塾大学情報環境学部・塚原沙智子先生と塚原ゼミの皆さんをゲストお招きし、サステナブル&インクルーシブな暮らし方を加速していくために、必要なこと・大切なことは何か、次世代のみなさんのリアルな声に耳を傾けながら、ディスカッションしました。
イベントレポートでは、その抜粋をお届けいたします。
 
【そもそもiSFLカンファレンスとは?】
 
サステナビリティとビジネスの課題を解決するためのビジネス創発型会員コミュニティ、iSFL(ifs Sustainable Futures Lab)の年間プログラムとしてお届けする、課題解決の方向性を学び・シェアする勉強会です。毎回、ifs や外部研究員の知見を踏まえたテーマを設定し、ビジネスの潮流や生活者の理解を深める時間をご提供します。勉強会後には交流会も予定しており、会員同士での親交を深めたり、事業への課題や悩みごとのご相談もできます。今後も年4回オンライン・オフライン併催で実施します。
 
【第一部「iSFL のコンセプトと今後の活動について」】
 
第一部ではまず、ifs未来研究所所長 代行の山下より、「iSFL のコンセプトと今後の活動について」を現在の地球環境の現状などを踏まえて皆様にご説明いたしました。



山下:iSFLは、地球環境や社会課題解決を目的にしたビジネスが成長する仕組みを作ることを念頭に置いています。
その中でも今回のようなカンファレンスを年4回開催する予定ですが、「思考を越境させる」ということが重要なテーマだと考えています。
 
探索の範囲を社会全体に広げて、未来の兆しを対話からキャッチアップし課題解決の可能性を探求していくことが重要です。
 
会員の皆様同士の対話から、新たな問いが創発される。そして領域を超えた課題解決の着想、実行につなげる多様な共創形態、結果的に成長と社会課題が両輪で前進できる進化を生み出すような仕組みづくりをiSFLが起点となりやっていきたいと考えています。この活動が皆様の事業運営の一助となればと思っております。
 
私たちはどこに風が吹いているのか見極め、コミュニティの環境づくりに努めていきたいと考えています。

【ミニレクチャー「新世代『Self-D世代』とは」】



ifs未来研究所 研究員の中村より「新世代『Self-D世代』とは」と題したミニレクチャーを行いました。伊藤忠ファッションシステムが20年以上研究している「世代論」の最新の世代区分であり、今回のゲストの慶應義塾大学情報環境学部の塚原ゼミの市川さん、宮沢さんも該当する『Self-D世代』について会員の皆さまに理解を深めて頂きました。
 
Self-D世代やifsオリジナル世代論について詳しく知りたい方はこちら(別収録)
【世代論】新世代発表!!最新の世代Self-D世代とは?
【世代論】若い3つの世代を徹底比較!比べるとファッションにもカルチャーにも大きな違いが!?
 
【第二部 「次世代の価値観とサステナビリティ」】

第二部では「次世代の価値観とサステナビリティ」と題し、慶應義塾大学情報環境学部・塚原沙智子先生と、塚原ゼミに所属する学生の市川さん、宮沢さんから普段のゼミや課外活動、普段の生活の中でのサステナビリティに対する意識や行動についてお話をうかがいました。



【ゲスト自己紹介】
 
塚原先生:慶應義塾大学から参りました、塚原沙智子と申します。
元々は環境省の職員で、現在は大学に出向して教員をしています。

大学では、主に環境に関する政策の授業を担当しています。そのほかにも、キャンパスで過ごす中で、様々な側面からサステナビリティを高めていくようなプロジェクトも学生と一緒に実行しています。

具体的な施策は下記の内容です。

・プラスチック製だったカフェテリアのテイクアウト容器を、希望者にはリターナブルな素材の容器に変更し値引き価格で提供

・環境問題や多様な食文化への対応に適したベジメニューのビビンバ丼を開発、学内レストランで提供

・学園祭で古着の交換会を実施、古着交換に対しての意識アンケート調査

・ifsと共同企画したHydro Flaskとのコラボマイボトルを大学生協の公式商品として販売
 
・マイボトル制作に伴い、校内でのウォーターサーバー設置活動

・学校中のごみ箱の分別表示を変え、より見やすく、分別しやすいものに変える活動

・ごみ箱の中身の分別実態と間違えやすいものの調査 など

自分たちが実感できるような活動を調べて根拠を積み上げ、今の状態から次の状態に変える活動を、学生を中心に5、6個進めています。大学の事務、カフェテリアや大学生協などのステークホルダーに対して学生が交渉し、説明を行いました。こういった活動の実践を学生たちと一緒に行っています。

市川さん:慶應義塾大学の総合政策学部の4年生の市川です。ライフセービングサークルに所属し、逗子海岸でライフセーバーとして監視活動を行っています。
もともと海洋プラスチックごみ問題に興味があり、そこから派生してペットボトルごみを減らしたいと思うようになりました。伊藤忠ファッションシステムさんと協力し、Hydro Flaskというブランドとコラボした慶応義塾大学オリジナルのマイボトルを1からデザインして大学生協とともに商品化しました。

また、ファッションにも興味があり、環境に配慮したアウトドア系のファッションブランドでもアルバイトをしています。

宮沢さん:慶應義塾大学の環境情報学部3年生で、循環をテーマに、研究会(ゼミ)に2つ入っています。一つは塚原先生のもとで古着の回収のプロジェクトをしています。もう一つはイスラム研究室で土葬問題について研究しています。

課外活動として「KEEP WEARING」という活動をしています。直訳すると「着続ける」という意味で、洗わなくていいウォッシュレスブランドという、サステナブルファッションのブランドを立ち上げました。実際に洗わなくていい服を作り、100人で100日間同じ服を着続けるというイベントを企画しました。また、SEAMESというアートやエンタメで社会問題を解決しようという会社でインターンをし、Podcastなども作っています。

【Self-D世代はいつも忙しそう、って本当?】 

-Self-D世代と日頃、接していて感じることは?

塚原先生:私と彼らは20歳差ぐらいあります。ifsオリジナル世代論の分析でいうと私は「プリクラ世代」です。先程レクチャーで、Self-D世代の特徴について説明されていたようにある通り、彼らの世代は、自分自身と違う相手を受容できる人たちが多いので、私が中に入っていっても受け入れてくれます。それもあって、「若い人って理解ができないな」と思うことが全くないというのが大学に来ての実感でした。

あと、もう一つ思うのは、学生さんたちは本当にみんな忙しそう!

皆さん自分のプロジェクトを個々に持っています。いろんなことを掛け持っていて、自分にいろんなものを身につけていく感じがしています。でも、それをちゃんと上手にマネジメントしているので、課題を出し遅れるとか、遅刻することも多くはない。素晴らしいマネジメント能力があり、自分自身を高める事への意識が高いと思います。

-Self-D世代を調査している中でいろんな大学生に取材した時も、この世代の方たちは多くのことを詰め込んで活動していることがわかりました。お二人はなぜさまざまなことを掛け持って活動しているのですか?

宮沢さん:やりたいことはとりあえず何でもやっちゃおうみたいな(笑)。多分それだけなんですけど、それが「いい感じ」に別のプロジェクトにも連鎖され、結局全部「いい感じ」に進んでいる気がします。これ以上できないと思うかもしれないけど、とりあえずやってみて、「意外となんとかなるじゃん!」みたいな感じです。

市川さん:確かに忙しくしているというのは、本当ですね。
私たち大学4年生の代は、高校3年生から大学3年生の半分までずっとオンラインがメインでした。高校の卒業式も大学の入学式もなくて、授業もテストも基本全部オンラインだったので、暇な時間がものすごく多かったんです。この時間何やろうって考えた時に、オンラインでインターンするとか、バイクに乗るとか、車の免許取ってドライブ行くとか、サーフィンするとかそういった方向にやるしかないという思いが大きくありました。その癖で、今も予定を詰め込んでいるのかなと思います。もちろん彼が言った通り全部連鎖しているので、全部良い経験になっています。

【環境・社会課題が「自分ごと」である理由】 

-お2人はもともと好きなことが沢山ある中で今のゼミに入られたと思うのですが、どうしてこの環境問題を扱うゼミを選んだのですか?

宮沢さん:僕は高校生までずっとファッションデザイナーになりたいと思っていました。高校生の夏休みに、ロンドンで留学のような形でファッションを学んでいた時、たまたまバスからファストファッションのお店の前でデモをしている様子を見たんです。それが僕の原体験だと思います。自分がなろうとしているデザイナーという仕事が、もしかしたら地球に悪影響を及ぼしたり、誰かを苦しませたりしているのではないかということを少し考え始めました。それで日本に帰ってきてサステナビリティの会社について勉強を始めたり、自分でこういう研究をしたいと考えるようになりました。

市川さん:私はもともとダイビングが好きで、よくダイビングをするのですが、ちょうど海洋プラスチックごみの問題がよく動画などで話題になっていたタイミングでした。実際に海に潜ってみると、確かにごみ溜めになっているところが多くありました。

でも、ごみの中でもタイヤには魚が住めたりします。ごみであっても魚の住処であることに気がつき、こういうものは別に悪いものではないのかもしれないと思いました。

一方、容器包装などのプラスチックごみは海の中で分解もされないし、どうにもならないということに、自分で実際潜ってみて気がついたんです。

このプラスチック問題は、もしかしたら自分でも何か貢献できると思い、せっかく好きなフィールドだったので、何か自分でもできたらいいなと思いごみ拾いなどに参加し始めました。活動を通して、場所によってごみの量が全然違うことに気づきました。江ノ島など人が多い場所はボランティアの方がすごくきれいにしてくれているので、本当にごみが全然見当たらないのですが、本当に人の手が入らないようなところでは一面にごみがあったりします。環境省の政策を見ても「これっておかしいな」という気持ちが大きくなり、それを元に志望理由を書いて大学に入学しました。

結局、自分が一番近いフィールドで守りたいものが海だったので、海について学べて、さらに海洋プラスチックごみ問題の解決を実践できるのではないかなと考えてこのゼミに所属しています。

【サステナブル&インクルーシブな消費を促すには?(参加者の皆様と学生お二人のディスカッションから一部抜粋)】



参加者:環境問題はその裏にある事実やストーリーを伝える時に、どうしても暗いトーン、恐怖訴求みたいな感じになりがちだと思うのですが、それを明るいトーンで、ポジティブに訴えられるようにするにはどうすれば良いか考えられたりしますか?

宮沢さん:環境問題の話をする時はそういう恐怖を煽るような形になりがちなので、「これをすればいい未来が待っている」という方向に持っていくという伝え方ができるかなと思います。

また、僕は100日間洗わずに服を着続けるというイベントをしたのですが、その理由として「洗濯するとマイクロプラスチックが出てしまう」ということだけでなく、「100日間、洋服洗わないのってめっちゃ面白くない?」みたいな環境の軸以外のポジティブな面や、面白いことをしているという見せ方を意識しました。

市川さん:私も高校生の時、1週間全くプラスチックを使わない生活をやってみました。その時はシンプルに周りからも興味を持たれました。そのように楽しんで環境問題について考えて、面白がって行動することが環境意識につながるのかなと思います。
あと、最近、三宅島にライフガードに派遣されて行ってきたのですが、まだ環境問題の影響を受けてない海は本当に綺麗でした。「海って本当はこういうものなんだ」ということを、湘南に毎日入っている人たちにも知ってもらえたら、環境について考えてくれる人も増えるのかなと思います。

皆様からたくさんの質問をいただき、次世代のリアルな声を共有することができました。
ディスカッションのセクションを持ちまして「第1回 iSFL カンファレンス」は終了となりました。その後会場を移動し、参加者の皆様同士での名刺交換・ミニ懇親会を行い、業種や領域を越えて意見交換する場となりました。

【ご参加者が体感した学びとは?】
 
当日参加された会員の方からの声を一部ご紹介させていただきます。
 
「今回たくさんの刺激を頂きました。これから社会をつくっていくのは、あの学生達です。その価値観を深掘りすることが必要になりますので、次回も非常に楽しみです。」
「とても実りのある会でした。業務に活かすことができそうな情報もありました。」
「カンファレンス本体はもとより、ロビーへ移ってのネットワーキングも含めてとても有意義でした。」

年間を通し、これからも様々な角度から多様な声が集まる議論の場としてiSFLカンファレンスを実施してまいります。

ご興味を持った方は下記からiSFLのページをご覧ください。
https://www.ifs.co.jp/sustainable-futures-lab
お問い合わせ先:pr_miraiken@ifs.co.jp

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